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学校に通わず部活に参加→MLBやNFL選手に成長 学習は家庭のみ、米国で広がる教育制度の是非

MLBブルージェイズのボー・ビシェットもホームスクール生

 ホームスクールで学び、学校の野球部に通っていた有名プロ選手は他にもいる。ブルージェイズの遊撃手であるボー・ビシェットだ。2017年のカナダのスポーツネット局によると、ボーは、午前中に家庭で学習をし、午後からは父で元メジャーリーガー選手のダンテ・ビシェット、兄でマイナーリーガーのダンテ・ジュニアとともに野球の練習をしていた。父のダンテが、フロリダ州の自宅近くのグラウンドにいたレイクウッド高校野球部のコーチに声をかけていたことをきっかけに、この学校の野球部に入部することになった。彼もティーボウ法の恩恵を受けたということだ。ただし、ホームスクール生であったためか、たくさんの書類にサインをしなければいけなかったという。

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 また、テキサス州では2年前にティーボウ法が成立した。賛成票を投じた議員は、たとえホームスクールであっても住民として税を納めているのだから、公教育の一部に参加する選択肢を与えられるべきだとし、「この機会は、すべての子どもたちが学び、成長し、才能を伸ばすのに役立つ」と話した。ティーボウ法の成立を働きかけた人のなかには、公立校の運動部活動で秀でている生徒は奨学金をもらって強豪大学でプレーすることができるが、ホームスクール生にはそのような機会がないと意見している人もいた。

 一方の反対派は、公立校の生徒は学業成績などの運動部の参加基準を求められるのに、ホームスクール生の学業成績は親によって緩く申請されるかもしれないという懸念を示した。ホームスクール生は学習時間を短縮し、より多くの時間を練習に割くことで、他の生徒よりも競技力で優位に立つことがあるかもしれないので不公平というものもあった。

 確かに個人競技ではあえてホームスクールにしたり、ホームスクール形式でオンライン教育を受けたりすることで、より多くの時間をスポーツのトレーニングにあてられるようにしているケースも少なくない。

 ティーボウ法は、本来は、その地域に住んでいる子どもならば、どこで学習しているかにかかわらず、運動部を含む課外活動に参加できるようにするものだ。しかし、競技力向上や強豪大学進学の際に、ホームスクールと学校に通う生徒のどちらが有利かといったことが議論のトピックになっており、アメリカ運動部が抱える競争至上主義を浮き彫りにしているようにも感じる。

(谷口 輝世子 / Kiyoko Taniguchi)

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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