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W杯決勝のPK戦4人目を蹴った舞台裏 12年経っても熊谷紗希に息づく「W杯を楽しまないと損」

サッカーのFIFA女子ワールドカップ2023(W杯)が7月にオーストラリア・ニュージーランド共催で行われる。3大会ぶり世界一をかけて挑む日本代表・なでしこジャパン。選手たちは並々ならぬ闘志を燃やしている。2011年大会の優勝メンバーであるDF熊谷紗希に「BEYOND(~超えて)」をテーマにインタビュー。当時20歳にして決勝・米国戦でPK戦4人目のキッカーを託された舞台裏を明かし、32歳で迎えるW杯への想いを語った。(取材・文=藤井 雅彦)

日本代表・なでしこジャパンDF熊谷紗希【写真:Getty Images】
日本代表・なでしこジャパンDF熊谷紗希【写真:Getty Images】

熊谷紗希インタビュー、32歳で迎えるW杯への想い

 サッカーのFIFA女子ワールドカップ2023(W杯)が7月にオーストラリア・ニュージーランド共催で行われる。3大会ぶり世界一をかけて挑む日本代表・なでしこジャパン。選手たちは並々ならぬ闘志を燃やしている。2011年大会の優勝メンバーであるDF熊谷紗希に「BEYOND(~超えて)」をテーマにインタビュー。当時20歳にして決勝・米国戦でPK戦4人目のキッカーを託された舞台裏を明かし、32歳で迎えるW杯への想いを語った。(取材・文=藤井 雅彦)

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 オーストラリアとニュージーランドで共同開催されるW杯が3か月後に迫っている。なでしこジャパンの命運をかけた大勝負だ。

 緊張や重圧に苛まれても不思議ではないタイミングだが、自身にとって4大会連続のW杯に臨む熊谷紗希は穏やかな表情で言う。

「私は3か月後とか、あまり先のことを考えないタイプです。過去は変えられないし、未来のためにできるのは今だけ。自分が認められる今日を過ごしていけば、必ず未来につながると信じています。楽しむことを意識して、楽しんだ時の方が絶対にうまくいく。だから、今この瞬間にフォーカスして毎日を過ごしています」

 歴代4位となる代表キャップ数135(4月12日現在)の経験が成せる業なのか。こぼれ落ちる柔らかい笑みに、過度なプレッシャーは感じられない。

 ただし、見る角度を変えるとマイペースでばかりいられないことは百も承知だ。なでしこジャパンの主将という立場からすれば、置かれている状況は決して楽観視できるものではない。

「W杯本番を見据えての準備を考えると、チームとしてやれる時間が限られている中でもっと完成度を高めなければいけない。焦りはないですが、ピッチを上げていく必要はあると感じています。サッカーはチームスポーツですし、自分だけのパフォーマンスが良ければ勝てるわけではありません。外からの視点を持って、俯瞰することも大切なのは理解しています」

 12年前の2011年7月17日、日本女子サッカーが世界の頂点に立った。当時、20歳だった熊谷は闘志溢れるプレーで最終ラインの防波堤となり、W杯優勝の立役者に。若かりし日の自分は、どのように映っているのか。

「一言で表すなら、とにかく一生懸命でした(苦笑)。どんな時も、どんな状況でも常に100%。周りに迷惑をかけたくないという一心と、自分の持ち場でやられたらいけないという気持ちで必死。目の前の相手にやられたらいけないのはDFとして今も変わらないけれど、そのために何をすべきかという思考や選択の部分で幅は広がったと思います。でも、余計なことを考えずにガムシャラにできていたから良かった部分もあるんですけどね」

 懐かしさを覚えながら、それでいて昔の自分がちょっぴり羨ましそうに微笑んだ。

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