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「水球のまち柏崎」と東京五輪の誤算 “皇帝”青柳勧、シンガポール代表率いる狙いとは

シンガポール男子水球代表の選手たちと喜ぶ青柳監督(左から3人目)【写真:シンガポール水泳協会提供】
シンガポール男子水球代表の選手たちと喜ぶ青柳監督(左から3人目)【写真:シンガポール水泳協会提供】

柏崎に創設したブルボンKZが選手と地域に与えたもの

 筑波大在学中に休学してスペインでプレー。卒業してイタリアで3シーズン、モンテネグロで2シーズンを過ごした後に帰国し、2010年に新潟県で立ち上げた「ブルボンウォーターポロクラブ柏崎」(ブルボンKZ)を、青柳は「大成功」と振り返る。

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「僕は水球選手として本当に、オリンピックへ行って世界のトップチームと戦いたかった。かつての日本代表は、一緒に練習できるのが年間で50日くらいしかなかった。さらに10日程度の海外遠征が1、2回。日本でマイナースポーツの水球は、選手が自腹で遠征費を負担するのは当たり前。選手個人へのスポンサーもつかず、代表選手は飲食店やコンビニでアルバイトをしながら競技との両立をしていました。こういう環境で、フルタイムで練習するプロが集まった強豪国に対抗できるか。このままでは絶対にオリンピックへは行けない。覚悟を持った選手を集めて、一緒に練習できる環境を作るしかない。スポーツには人の気持ちをまとめる力があると思ったので、街を活性化させるためにマイナースポーツを応援しましょう、応援することで地域の経済も回ります、という理論を組み立てて、それが絶対にできると思ったのが柏崎でした」

 母校・筑波大水球部のOBが学長を務めていた縁で、柏崎市内の新潟産業大で教えながら、行政の支援や株式会社ブルボンの協賛を受けて、クラブが動き始めた。

「それほどの高給でなくても、企業は水球選手を雇えます。それまでアルバイトでひーひー言っていた選手にとっては大喜びの金額ですよ。仕事が保証されるので、街に選手が集まってくる。チームスポーツなら毎日、同じ場所で一緒に練習できるメリットが生まれる。いつの間にか、地方のクラブに日本代表選手が大勢所属するようになった。我が街に日本代表選手がいる、五輪選手がいるって、街にとっての一つの財産ですから、街づくりのポイントになるんです」

 ブルボンKZは2012年と18年に日本選手権で優勝。「水球のまち柏崎」は定着し、東京五輪代表にも男子3人、女子1人が選ばれた。そんななかで手塩にかけて育てたクラブを離れて、シンガポール代表監督に就任した。

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