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スポーツ部活動を学校にデリバリーする理由 放課後の課外活動格差を是正する試みとは

デトロイト、ボストンの実例

 デトロイトでは、米サッカー財団とデトロイト・ポリス・アスレチックリーグが提携し、デトロイト・ポリス・アスレチックリーグを通じて、デトロイト市の公立小学校でサッカー活動を行っている。コーチは一般の大人の場合もあるが、その学校の教員が担当しているケースが多い。このコーチには、米サッカー財団とデトロイト・ポリス・アスレチックリーグから少額だが、手当が支払われている。

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 ボストンでは、ボストン・スコアズという非営利団体が財団と提携して、ボストン市内の50以上の公立学校で放課後のサッカー活動を提供している。ボストン・スコアズのロゴは、サッカーボールに鉛筆が突き刺さっているもので、サッカーだけでなく、学力を身に付けることを重要視している。

 ボストン・スコアズでは、3ステップのアプローチで子どもたちを育成している。

1.サッカーというスポーツを通じたチーム作り
2.そのサッカーチームを教室に持ってきて、生徒の年齢と現状に合った充実したプログラムを提供する。
3.生徒がチームとして協力し、自分たちの意見によって、地域社会に良い変化をもたらすことを学べるようにする。

 具体的には、小学生、中学生、高校生ともに、サッカーの練習が週に3回、週2回はエンリッチメントプログラムとして学力やそのほかの活動を行っている。

 小学生は、秋季は詩を学び、春季は作文を通じて、読解能力と自己表現を身に付けるようにする。中学生には社会企業についてのワークショップ、高校生には大学進学準備とキャリアを開発するためのプログラムだ。

 サッカーのコーチには時給15ドル程度が支払われており、有償のコーチを支えるボランティアもいる。

 前述したように、アメリカの公立学校はその学区の住民の払う税金が主な財源となっており、低所得世帯の多い公立学区の教育予算は不十分になりがちだ。財源不足によって課外活動を提供できない公立学校に代わって、非営利団体の放課後事業が参加費無料の活動を提供しているといえる。

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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