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「でも、まだアジア」 W杯決勝365日前、主将・熊谷紗希が語った“なでしこの現在地”

なでしこジャパンでは不動のセンターバックとしてチームを支える【写真:Getty Images】
なでしこジャパンでは不動のセンターバックとしてチームを支える【写真:Getty Images】

自分たちのテクニックを世界でどう使うか

 2008年、常盤木学園高2年のときに代表デビューを飾った熊谷は、27歳にして99のキャップ数を誇る。2011年の女子W杯ドイツ大会ではセンターバックとして優勝に貢献。W杯後の2011年7月に海を渡り、ドイツ・フランクフルトを経て、2013年にフランスのオリンピック・リヨンに移籍。各国の代表選手が多く在籍する世界最高峰のチームで主力として活躍し、昨シーズンは国内リーグでは12連覇、UEFA女子チャンピオンズリーグでは史上初の3連覇を達成した。

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 “世界”の第一線で戦い続けてきた熊谷の言葉は重い。なでしこジャパンが再び世界の頂点に立つために必要なのは、世界での戦い方を知ることだと続ける。

「U-17やU-20の世界大会を経験している選手も多いですが、(フル代表は)全く違う。この間、年齢順に並んで、上から半分に分けて、ベテランVS若手でゲームをしたんですが、ベテランチームは強いんですよ。経験があって、戦い方を知っているから。

 同じように、2011、2012年のチームは、自分たちのテクニックを世界でどう使うかを知っていた。今のチームはうまい選手が多く、ポテンシャルは高いと思う。でもまだその部分が足りていない。順応性や起用さ、修正する能力も、日本人はすごく高いし、そこに期待もしている。

 ここから1年、世界の相手と戦って、いろんなチャレンジしながら、もがいてもがいて作っていくしかないと思っています。本当に、ここからです」

 しかしながら、これから1年の間に経験できる国際試合の数は限られる。その中で、“海外組”が“世界基準”をもたらすことの重要性を、熊谷自身は十分自覚している。

「自分は世界に近いところで戦っているので、そういったところはすごく伝えたいし、プレーでもっと示せるところもあると思う。今シーズンから(猶本)光が海外に挑戦しますけど、もっとそういう選手が出てきたらいいなと思います。そのためには、自分が成長しているところを見せるのが一番の指標になる。代表活動で集まるたびに、自分がもっとすごくなっているなと思われる選手でないと、海外の魅力は感じてもらえない」
 
 W杯優勝経験者として、海外組として、そしてキャプテンとして。熊谷が背負うものは大きい。だが当の本人は「やることはシンプルですよ。自分ができることをやるだけです」と気負いはない。

「チームをまとめることはキャプテンでなくてもやろうと思うし、キャプテンだからと特に身構えることもないですね。私たちは勝ちたいし、そのために言うべきことは言う。そういう役回りとしてのキャプテンなら、勝つためにやれることを全部したいです」

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山田 智子

愛知県名古屋市生まれ。公益財団法人日本サッカー協会に勤務し、2011 FIFA女子ワールドカップにも帯同。その後、フリーランスのスポーツライターに転身し、東海地方を中心に、サッカー、バスケットボール、フィギュアスケートなどを題材にしたインタビュー記事の執筆を行う。

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