[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

プロ野球の投手の伸びしろは「恐ろしいものが…」 やり投げ選手が驚くフィジカル潜在能力

指導するディーン(右)にとっても受ける刺激は大きいという【写真:中戸川知世】
指導するディーン(右)にとっても受ける刺激は大きいという【写真:中戸川知世】

スポーツ界の発展にも大切な交流「お互いの脳の刺激になる」

 異なる2つの競技を融合させるから生まれるものがある。

【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら

 前編に記した通り、この合同トレーニングの狙いは競技ごとで凝り固まった常識を壊し、新たな成長のヒントを探すことにある。一流同士、競技の垣根を越えて知見を共有し合うことは、日本のスポーツ界の発展という視点でも重要だ。しかし、競技が違えば、交流する機会は限られる。

 ディーンは小6まで、小南は高1まで野球をしていたが、トップレベルのアスリートとなっても野球選手とは接点が皆無だった。「(一般人と同じ感覚で)野球選手って凄いなあって、思っていました(笑)。道端を歩いていて奇跡的に会うしかないくらい遠い存在」とディーンは笑う。

「どうしても、自分たちの競技の練習しかしなくなる。ここに来ると、野球ボールを投げてみて、やっぱりシンプルに速く(腕を)振れることが大事と改めて思える。ハンドボール出身が前回の世界陸上トップ8に2人いたんです。自分がやっていないスポーツを生で見たり、感じたりすることは刺激になるし、(発見の)材料になる。お互いに文章や動画で『こんなことしてます』と発信するのではなく、実際に会ってやることによってお互いの脳の刺激になります」(ディーン)

ディーン(右)と小南は2023年シーズンに闘志を燃やしている【写真:中戸川知世】
ディーン(右)と小南は2023年シーズンに闘志を燃やしている【写真:中戸川知世】

 2021年から始まった合同トレーニング。ディーンと小南にしても、参加者たちの成長を感じられることも楽しみという。

「巨人の高梨(雄平)君は去年参加した時に『腹筋が使い物にならなくなった』と言って倒れていました(笑)でも1年を通して体が丈夫になり、(フィジカルの)ベースが上がった。それだけ継続してくれる魅力が、僕らが伝えたトレーニングにあったのかなと思います。野球もやり投げもトップレベルになれば負荷も上がってくる。一番は怪我しないこと。怪我しない体を作って、日本球界のトップで活躍してくれると、ファン目線で嬉しいです」(ディーン)

「いろんなトレーニング種目をやった中で、自分の中で『これが必要だ』と思ってもられるものがあったとしたら嬉しいこと。それを自分のトレーニングに発展させて、ちょっとでもモチベーションが上がったり、ちょっとでも1軍で長く投げたりにつながれば。今年はスケジュールで参加できなかった選手もいますが、やっぱり一回会うと気になるし、試合も見に行きたくなる。そういう選手が1軍にいたりすると嬉しくなりますね」(小南)

 参加者にエールを送りながら、2人は自身の来たるべき2023年シーズンに闘志を燃やす。

 ディーンは2012年ロンドン五輪で10位。2021年東京五輪を逃したが、22年世界陸上で9位。一方、小南は東京五輪に出場するも全体19番手で予選落ちを味わった。今年は世界陸上(ブダペスト)が控え、ともに来年に迫った24年パリ五輪出場を目指している。

「まずはブダペストにしっかりと出るということ。日本のやり投げ界では、ほぼ最年長の年齢になっているので、引っ張って行っていきたい。世界のレベルも上がっているので、それに食らいつきながらトップ8を目指して。そして、パリ五輪には必ず出られるように。それが一番の目標です」(ディーン)

「ディーンさんはロンドンに出て、世界陸上も出て、両方入賞まであと一歩のところで悔しい想いをしている。僕は東京で五輪に出たけど、悔しいどころか、ただ出ただけ。情けない想いだったので、パリ五輪に行くのはもちろん、日本人として世界と戦っていけるように。ここに来てくださるプロ野球選手の方も、僕らの肩書きもあって話に筋が通る。世界陸上や五輪のレベルにいなかったら、僕らの言うことが説得力に欠けてしまいますから」(小南)

(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)

1 2
W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
ABEMA
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集