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「恨みを残さない」サッカーの不文律 一触即発→“談笑”、スペインで見た驚きの光景

判定に抗議したパトリックも守った不文律

「ピッチで起きたことはすべてピッチで収める」

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 その不文律は「恨みを残さない」という点で、とても理にかなっている。

 冒頭、レッドカードを受けたパトリックが、ピッチを去る際にはお辞儀をしている。判定には不当を訴え、猛抗議した。納得はしていなかったはずだが、下された決断に対しては不文律を守っていた。

 鈴木も判定に傲然と胸を張った。「汚い」「卑怯」と誹謗中傷を受けようとも、彼はルールの中、チームが勝つためだけの行動をしたに過ぎない。ピッチの中、勝つためになりふり構わないプレーをし、生き方を貫いている。

 また、G大阪の昌子とペレイラも試合後には和解したという。クラブも特別なペナルティは科していない。それは、あるべき姿と言える。

 ピッチの中での出来事は、できるだけ引きずるべきではない。

 子供たちも目を背けず、ピッチで起こる出来事をすべて見つめるべきだろう。その上で自らが考え、己の中で正しい答えを出す。戦場は曖昧な塩梅の世界で、誰も答えは提示してくれないのだ。

 不文律は、一つのヒントになる。

(小宮 良之 / Yoshiyuki Komiya)

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小宮 良之

1972年生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。トリノ五輪、ドイツW杯を現地取材後、2006年から日本に拠点を移す。アスリートと心を通わすインタビューに定評があり、『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など多くの著書がある。2018年に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。少年少女の熱い生き方を描き、重松清氏の賞賛を受けた。2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を上梓。

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