大会に出たい理由は「皆と滑りたいから」 日本の部活文化に響くスケボー界2人の言葉
「楽しいことよりきついことの方が多い」スケボーがやめられない理由とは
ストリートスポーツといえば、「自由」のイメージが強い。
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競技はダボっとしたTシャツを着こなすストリートスタイル。坊主を強制されることも、過度な上下関係もない。14歳の西矢は20歳の白井を「空良くん」と呼び、白井は「話しかけても、たまに無視されます」と笑う。その分、「楽」との誤解も生まれるが、血の滲むような努力を重ねているのは多くのスポーツと同様だ。
転倒がつきもの。体はあざだらけ。「楽しいことより、きついことの方が多い」と白井は言う。
「野球もサッカーも痛いと思うけど、スケボーも本当に痛いんです。何回も地面に叩きつけられて、練習は毎日行きたくない。靴紐を結んでいる時に(気分が悪くて)鳥肌が立つくらい。でも、新しい技メイクした時の達成感は最高で。やめられない。それは、きっとどのスポーツでも一緒じゃないかなって思います」
競技特性が注目され、東京五輪が競技の転換点となったのは事実。ただ、白井はスケートボート界の課題も認識している。
「米国って街中で滑ってもあまり怒られない。日本は(練習が認められている公園など)どこでも怒られるし、通報される。なんで、そうなっているかはみんな分かっていて、練習が終わってもたむろしたり、本当にやっちゃいけない場所でやったりするから。大会で楽しそうに滑る。でも、ちゃんと守るべきルールは守る。
滑るのが、俺たちの仕事ですから。当たり前ですけど、しっかりと迷惑をかけず、競技を続けていくことしかできない。(4月に行われたストリートスポーツの祭典)『X Games』が地上波で生中継されるなんて、本当に凄いこと。これからもっともっとスケートボードがいい方向に進んで、良い印象になっていけばいいなと」
決して、どちらに優劣があるわけではない。ストリートスポーツにはストリートスポーツの、部活には部活の良さがあり、それぞれの歴史を築いている。大切なことは異なる文化を知り、必要なことを互いに学び、スポーツがより愛されるものとして発展していくこと。
21世紀生まれの2人の言葉には、そのヒントがあるように聞こえた。
(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)