日本の歴史を変えたカーリング藤澤五月 負けず嫌いな末っ子「さーちゃん」の成長物語
姉が感謝するチームメイト4人のサポート
姉の汐里さんも、カーリングの話は妹とはほとんどしないと言う。
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「日本選手権で負けた後に『なんで負けたの? ちゃんと考えなよ』と聞いたら怒られてしまいました。私の聞き方も悪かったかもしれないですけれど」
それでも、自慢の妹なのかと聞かれると「もちろん」と笑顔で即答。笑うと特によく似る姉妹だ。妹の一番尊敬するポイントは「勝負どころで難しいドローもテイクも決めること」だそう。今大会で言えば、デンマーク戦のラストロックが汐里さんの暫定ベストショットだ。
「『チャンス来たー!』と思った時にしっかり決めてくれた。最高です」
北京で戦う妹とロコ・ソラーレにメッセージを求めると、汐里さんは感謝を口にした。
「あんな頑固で負けず嫌いの五月と上手くコミュニケーションをとって、五月のショットを引き出してくれる(吉田)知那美ちゃんをはじめ、(鈴木)夕湖ちゃん、(吉田)夕梨花ちゃん、五月を見守ってくれている(石崎)琴美さんにいつも本当に感謝しています。みんな頑張ってね。日本で全力応援しています」
北見で生まれて、カナダ各地を要所で経由しながら、軽井沢、常呂でストーンに触れ続け、理解者や頼もしいチームメイトを増やしていった藤澤五月。可愛い子には旅をさせよ、を体現したようなタレントだ。
北京五輪でも苦しい試合の連続で、1次リーグ最終戦でスイスに敗れた後には悔し涙も流した。だが頑固で負けず嫌いでカーリングが大好きな末っ子は、そのたびに立ち上がって前を向き、平昌五輪を超える銀メダルを手にした。
(竹田 聡一郎 / Soichiro Takeda)