戸塚優斗、普通科高校で目指した文武両道 「足が震えた」平昌五輪後に恩師が見た覚悟
「THE ANSWER」は北京五輪期間中、選手や関係者の知られざるストーリー、競技の専門家解説や意外と知らない知識を紹介し、五輪を新たな“見方”で楽しむ「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」を連日掲載。今回は北京五輪スノーボード男子ハーフパイプで悲願の金メダルを狙う、20歳の戸塚優斗(ヨネックス)のストーリーだ。
「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」#38 高校3年間の担任・脇野浩一教諭が見た素顔
「THE ANSWER」は北京五輪期間中、選手や関係者の知られざるストーリー、競技の専門家解説や意外と知らない知識を紹介し、五輪を新たな“見方”で楽しむ「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」を連日掲載。今回は北京五輪スノーボード男子ハーフパイプで悲願の金メダルを狙う、20歳の戸塚優斗(ヨネックス)のストーリーだ。
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4年前に初出場した平昌五輪は決勝2本目で転倒し、無念の11位。悔しさをバネに努力を続け、昨シーズンは世界選手権を含む出場全戦で優勝の快挙を成し遂げた。そんな戸塚は、光明学園相模原高校時代、普通科に通いながら文武両道を目指した生徒だった。恩師が語る素顔とは――。(取材・文=水沼 一夫)
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1年生から3年生まで担任だった脇野浩一教諭は、2018年平昌五輪の競技直後に交わした会話を鮮明に覚えている。
ショーン・ホワイト(米国)と平野歩夢が歴史的死闘を繰り広げた舞台で、戸塚の夢が儚く消えたわずか10~20分後だった。学校で応援していた生徒の1人が、戸塚に電話をかけた。代わった脇野先生が怪我を心配すると、戸塚は言った。
「ちょっと五輪は違った。足が震えました」
あれから4年、雪辱の場がすぐそこにやってきている。
「基本はシャイなのでこっちからつつかないと出てこない」
控え目な性格ながら、スノーボードへの情熱はひと一倍だった。平昌五輪前にはクラスメートとスノボに出かけたほど。学校の空き時間にスマホで自身の動画を見せて、饒舌に語る姿も印象に残っている。
「彼はああだこうだと説明してくれました。『もっと凄くなるの?』と聞いたら、『このひねりをこうしたいんだ』とか彼の中でいっぱい、どんどん創造的に出てくるものがあった。スノーボードが本当に好きなんだなってその時も思いました。絶えず、映像を見ていましたね」