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高梨沙羅らの魅力を伝えた小冊子「美翔女」 元選手の編集長が語る10年間と休刊の理由

「THE ANSWER」は北京五輪期間中、選手や関係者の知られざるストーリー、競技の専門家解説や意外と知らない知識を紹介し、五輪を新たな“見方”で楽しむ「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」を連日掲載する。

女子ジャンプのパイオニアである山田いずみさん【写真:マカロニ写真事務所提供】
女子ジャンプのパイオニアである山田いずみさん【写真:マカロニ写真事務所提供】

「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」#21 山田いずみさんが創刊に込めた一つの願い

「THE ANSWER」は北京五輪期間中、選手や関係者の知られざるストーリー、競技の専門家解説や意外と知らない知識を紹介し、五輪を新たな“見方”で楽しむ「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」を連日掲載する。

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 北京五輪ノルディックスキー・ジャンプ女子は5日、ノーマルヒル(HS106メートル、K点95メートル)が行われ、日本は高梨沙羅(クラレ)の4位が最高だった。五輪採用になって3大会目、日本の女子ジャンプは冬季五輪の注目競技となったが、その裏で惜しまれつつ発行を終えた無料の女子ジャンプ紹介小冊子がある。女子ジャンプのパイオニア・山田いずみさんが、2009年に創刊した『美翔女』だ。

 北海道・札幌市を中心に夏・冬と年2回発行し、平昌五輪後の18年夏に配布を終了した。約10年にわたり女子ジャンプの普及に貢献し、“女子ジャンプのバイブル”として、ファンや選手から熱い支持があった『美翔女』はどのように立ち上がり、なぜ役割を終えたのか。山田さんに話を聞いた。(取材・文=水沼 一夫)

 ◇ ◇ ◇

 2009年3月、現役を引退した山田さんは、ある一つの願いを込めて、『美翔女』を創刊した。

「当時は女子スキージャンプがまだ認知度の低いマイナー競技だったので、いつか五輪の正式種目に採用されてほしいという思いが強かった。でも、五輪種目になるために直接自分ができることは何もないなと思い、だったら私にできることは、五輪種目になった時に今より少しでも多くの人に女子ジャンプを知ってもらうことなんじゃないかと。そうすることで、その時が来た時にもっと盛り上がってもらえるんじゃないかなって、そんな単純な思いで紹介冊子を作ろうと思いました」

 古くは1972年札幌五輪、そして98年長野五輪団体金メダルで脚光を浴びた男子とは対照的だった。女子ジャンプは五輪種目になるどころか、ワールドカップ(W杯)すら開催されていなかった。そんななか、選手活動と並行しながら競技の普及を考えていた山田さんは、「引退したからこそできることがあるんじゃないか」と一念発起。『美翔女』を通じて、女子ジャンプの魅力を別の角度から伝えていくことを思い立った。

 最初は何もかもが手探り状態だった。ライターは編集長の山田さん1人だ。写真は高校時代の同級生で、写真家の大橋泰之さんに協力を仰いだ。

「撮影費がいくら払えるか分からない状況で。でも、自分の熱い思いをぶつけて、なんとか手伝ってくれないかと話をして、まずは大橋さんを巻き込みました(笑)。それがスタートかな」

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山田いずみ


1978年8月28日、北海道・札幌市出身。日本における女子スキージャンプのパイオニア。小学校1年生でジャンプを始める。2008年コンチネンタルカップ優勝。09年第1回世界選手権25位。全日本選手権は優勝5回。2013年に全日本スキー連盟のコーチに就任。ソチ、平昌と2度の五輪で高梨沙羅のパーソナルコーチも務めた。
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