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「私が高梨沙羅に惹かれた理由」 12歳から追い続けた写真家が知る、儚さゆえの美しさ

「THE ANSWER」は北京五輪期間中、選手や関係者の知られざるストーリー、競技の専門家解説や意外と知らない知識を紹介し、五輪を新たな“見方”で楽しむ「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」を連日掲載する。

秋の青空を見上げる高梨沙羅。さわやかな笑顔を切り取った【写真:(C)SARA TAKANASHI Photo BY Yasuyuki Ohashi】
秋の青空を見上げる高梨沙羅。さわやかな笑顔を切り取った【写真:(C)SARA TAKANASHI Photo BY Yasuyuki Ohashi】

「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」#9 大橋泰之さんが衝撃を受けた高梨のジャンプ

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 5日に行われるノルディックスキー・ジャンプ女子の高梨沙羅(25歳/クラレ)を、13年にわたり撮影している写真家がいる。北海道・小樽市出身の大橋泰之さんだ。初めて出会ったのは高梨が12歳の頃で、以来、さまざまな表情をレンズに収めてきた。2018年には東京で行われた「セブンカフェpresents 高梨沙羅写真展カフェ『SARA’S PROGRESS』」で写真を展示し、大勢の人が訪れ反響を呼んだ。「実はスポーツ写真は、高梨選手以外撮る機会ないんですよ」という大橋さんが、北京五輪での戦いを前に被写体としての高梨の魅力を語ってくれた。(取材・文=水沼 一夫)

 ◇ ◇ ◇

 大橋さんが高梨の写真を初めて撮影したのは2009年のことだった。きっかけは女子ジャンプのパイオニア・山田いずみさんと立ち上げた女子ジャンプ選手の紹介冊子『美翔女』の撮影だった。高校時代、山田さんと同級生だった大橋さんは、山田さんから創刊号のプロフィール写真の撮影を頼まれた。

 迎えた当日、撮影に訪れた選手の中に、制服姿の高梨の姿があった。

「小柄な女の子がお母さんと来たんです」

 高梨は12歳の中学1年生だった。初対面の大橋さんは高梨の存在を知らなかった。しかし、その時に抱いたあどけない印象は、すぐに変わることになる。

「大橋くん、1回だまされたと思ってスキージャンプ見に来ない?」

 山田さんの誘いで、今度は札幌の大倉山で行われていたジャンプの練習を見学。大橋さんは、そこで衝撃を受ける。

「今でもはっきり思い出しますけど、全選手撮らせてもらっているので、なんとなく飛んできている子があの子だ、あの子だって分かるんですよ。それで、隣にいてくれた山田さんから『大橋くん、次、沙羅が飛ぶんだけど、ちょっと見てて』って言われて。そうしたら、とんでもないぐらい飛んでくる子がいるんですよ」

 小さな体がジャンプ台から空に飛び出すと、ぐんぐんと飛距離を伸ばした。別次元の飛躍をしているように映った。

「全然スキージャンプのことを分からずに見ていたんですけど、途中で自分で飛ぶのをやめたような感じがするくらい飛んでいるように見えたんです」

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大橋泰之

写真家 
1978年9月1日、北海道・小樽市出身。広告写真を始め、ドキュメンタリー、エディトリアル、最近では自主制作映画など幅広い分野の撮影を手掛ける。2018年3月、東京・六本木ヒルズで「セブンカフェpresents 高梨沙羅写真展カフェ『SARA'S PROGRESS』」を開催。合同会社マカロニ写真事務所代表。
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