気丈な振る舞いの裏に重圧 香妻琴乃が泣きながら紡いだ言葉
あと一つ順位を上げれば―、泣きながら紡いだ言葉
ホールアウト後、取材に応じた香妻は声を詰まらせ、ポロポロと涙を流した。その姿に少々驚いた。いつも彼女は、「シード獲得」に関する質問をしても、「私はシードを取るということよりも、優勝しか見ていません」と気丈に振舞っていたし、仮にシードを取れなくても、「ファイナルクオリファイングトーナメント(QT=最終予選会)から来季の出場権を得ればいい」と考えていたはずだった。
だが、あと一つ順位を上げれば来季のシードを得られる状況は、香妻に重くのしかかっていた。シードを取れなかった悔しさ、思うようなプレーができない不甲斐なさ、情けなさ――様々な感情が入り乱れていての涙だったに違いない。
香妻は泣きながらもこう言葉をつないだ。
「予選カットラインは気にはなっていませんでした。それよりも自分のベストを尽くすことだけに集中していこうと思いながらプレーしていました。今のプレーが自分のこの結果です。それを受け入れて、気持ちを切り替えて、QTにつなげたいと思います」
ファイナルQT(11月29日~12月2日、千葉・東急セブンハンドレッドクラブ東コース)で40位前後の成績を収めれば、来季レギュラーツアーのほとんど試合に出場できる。香妻がここで望みをつなぐことができるかに注目したい。
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金 明昱●文 text by Myung-wook Kim