選手村の「眠り」を支える日本企業の技術 独自のマットレスに「持ち帰りたい」の声
段ボールベッドだけじゃない貢献、マットレスに「持って帰りたい」の声
エアウィーヴ社が五輪で行ったことは選手村の居室に「段ボールベッド」とマットレスを提供しただけではない。組織委員会が行った選手個々の体に合わせたマットレスの硬さを提案する「マットレス・フィッティング・サービス」に技術を提供。これはデータ計測を行い、選手個々の体の特徴に合わせたマットレスの硬さの最適な組み合わせをアドバイスするものだ。
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同社は選手村のベッドのマットレスを選手個々の好みに合わせて硬さを変えられるようにしている。開発段階からこだわりを持って進めてきたものだという。マットレスは3分割になっており、それぞれ表裏で硬さの異なる仕様になっている。「柔らかめ」「標準」「硬め」「とても硬め」の4種類で構成され、この計測で選手の体に最適なマットレスの硬さの組み合わせを提案。計測結果に合わせて、居室のマットレスを組み替えられるようになっている。
実際に数多くのアスリートがこの計測に訪れ、最適なマットレスの提案を受けたという。段ボールベッドとともに同社のマットレスに対しても、使用した選手や各国関係者から好評の声が多く、実際に「持って帰りたい」「どうやったら購入できるのか」といった要望も選手村で寄せられているという。
実際に選手から同社に届いたという感想も紹介しておこう。
「腰を痛めてからなかなか合うベッドがなかったが、今回とても寝心地が良く、今まで使用していたベッドの中でも最高のベッド。持ち帰りたいくらい良かった」(日本代表選手)
「アイデアが素晴らしい」(海外代表団のドクター)
「肩のけがをして以来、寝るときに肩を気にしていたが、このマットレスは肩が圧迫されず寝返りしやすくて良い」(海外代表選手)
大会期間中の選手を眠りから支えるという新たな試みに取り組んだエアウィーヴ社。「段ボールベッド」によって賛否が寄せられ、想定外の形で注目を集めることになったものの、その裏でしっかりとアスリートの眠りを支えて大会に貢献していた。
(福谷 佑介 / Yusuke Fukutani)