選手村の「眠り」を支える日本企業の技術 独自のマットレスに「持ち帰りたい」の声
「THE ANSWER」は東京五輪の大会期間中「オリンピックのミカタ」と題し、実施される競技の新たな知識・視点のほか、平和・人権・多様性など五輪を通して得られる多様な“見方”を随時発信する。今回は東京五輪で話題となった選手村の段ボールベッド。その裏にあったストーリーを開発メーカーへの取材で迫る。後編は五輪初の寝具パートナーとなった経緯と、選手村に提供した技術について。(取材・文=福谷 佑介)
連載「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」#71
「THE ANSWER」は東京五輪の大会期間中「オリンピックのミカタ」と題し、実施される競技の新たな知識・視点のほか、平和・人権・多様性など五輪を通して得られる多様な“見方”を随時発信する。今回は東京五輪で話題となった選手村の段ボールベッド。その裏にあったストーリーを開発メーカーへの取材で迫る。後編は五輪初の寝具パートナーとなった経緯と、選手村に提供した技術について。(取材・文=福谷 佑介)
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7月23日に開幕し、日本勢のメダルラッシュに沸いている東京五輪。残り期間もわずかとなったこの五輪で開幕前から競技とともに話題となったのが、多くの選手たちが時間を過ごす選手村の居室に置かれた“段ボールベッド”だった。
この段ボールベッドを作ったのが「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会オフィシャル寝具パートナー」となった株式会社エアウィーヴだ。東京五輪、そしてパラリンピックの選手村に1万8000床のベッドとマットレスを提供し、アスリートたちのパフォーマンスを眠りから支えている。「段ボールベッド」で国内外から注目を集めることになった同社の広報担当者に、東京五輪で行った取り組みについて話を聞いた。
なぜ、エアウィーヴ社は東京五輪のパートナー企業となったのか。同社広報担当者は「寝具というカテゴリーで五輪のスポンサーが付くのは、この東京大会が初めてです」という。これまでの五輪の歴史で「オフィシャル寝具パートナー」となった企業はなく、エアウィーヴ社が初。これまで、寝具はあくまでも備品の1つと考えられて重視されておらず、2007年の創業以降、アスリートの睡眠を支えてきた同社はここに注目した。
近年、アスリートを中心に、良質な睡眠をとることへの関心は高い。アスリートに関して言えば、パフォーマンスの向上やコンディションの維持、一般の人でも健康管理や仕事の効率アップなどのために睡眠を大事にする人は増えている。同社は五輪、パラリンピックに参加する全てのアスリートに良質な眠りを提供し、大舞台で100%のパフォーマンスを発揮してもらいたいと考え、機能性を持たせた寝具を選手村に入れたいとPRを続けた末に五輪初の寝具パートナーとなったのだ。