松田直樹を忘れない 10年目の8月4日午後1時6分に姉が綴る想い「弟のような事もう起きないで」
生きていれば44歳、天国の直樹さんへ「また口喧嘩をしたかった」
もし、生きていれば44歳。どんな人生を歩んでいたのかと想像します。
「夢はカズさんが辞めるまでやること」と言っていたので、ひょっとしたらまだ選手をやっていたかもしれません。監督になったら、あの性格なので、すぐに退場させられるんじゃないかな。ただ、サッカーしかできない人だったので、どんな形でもサッカーに携わっていたと思います。
直樹を知らない世代も増えています。その中でサッカーで培ってきた財産である多くの仲間が、今も生前の言葉をいろんな場所で伝えてくれます。
「サッカーは11人いるから成り立つ、仲間らがいるから強いんだ」
「苦しめば苦しむほど、悩めば悩むほど達成した時の喜びが待っている」
「グラウンドとボールがあれば、サッカーなんかできるじゃん!」
その一つ一つが子供たちにちょっとでも伝わってくれたら。生前の姿を知っている方には、たまに直樹を思い出してくれたら。そう願っています。
私はこれからも、直樹のようなことがスポーツ現場で絶対起きてはいけない、あんな悲しみを絶対誰かに味わってほしくない。そう思いながら、皆様の笑顔を守ってサッカーが安心して楽しめる環境作りを、AEDの大切さを伝えていきたい。
今、天国に伝える言葉があるとするなら「見守っててね」かな。今も多くの方に想っていただいている気持ちは絶対に届いている。なので、サッカーの発展のために尽くしている皆さん、選手もサポーターも、その家族も、誰もが笑顔でサッカーを楽しめるように見守っていてほしい。
姉としては「もっと試合を観ていたかった」と「また口喧嘩をしたかった」かな。
あの日以来、ずっと感じているのは今ある日常が当たり前じゃないということ。「行ってきます」と家を出て、「ただいま」と帰ってくる。それが突然、叶わなくなる人がいると実感した。些細な日常がどれだけ幸せだったかと思っています。
だからもう一度、声を聞きたい。「ただいま」と帰ってきて欲しいです。それで、また口喧嘩をしてみたいな、昔みたいに。
姉・松田真紀
(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)