【月間表彰】「常勝クラブ」のゴールを守る21歳 鹿島GK沖悠哉を元日本代表の守護神が絶賛するワケ
他にも似たシーンが! 朴一圭、前川黛也のパフォーマンスにも注目すべし
未来を担う若手GKにエールを送った楢﨑氏は、6月度の次点セービングについても熱く語った。
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まずは6月23日の第19節横浜F・マリノス対サガン鳥栖の一戦から。67分、FWマルコス・ジュニオールとのワンツーで抜け出したFWエウベルの折り返しをFW前田大然がダイレクトで合わせたが、鳥栖のGK朴一圭が左足を出してブロックした。
「このシーンは相手の攻撃にスピードがあり、守備側の選手の戻りが遅れていました。ゴール前には相手選手が2枚くらいフリーの状態で、はっきり言ってGKとしてはかなり難しい。その中でも、どちらの選手に合わせて来る確率が高いか、そして防ぎやすいかをイメージしながら、ボールの軌道に合わせてシューターの狙いを定めたはずです。そういった予測があったからこそ勝負になり、好セーブが生まれました。朴選手からすると『してやったり』だと思います」
さらに6月23日の第19節横浜FC対ヴィッセル神戸における開始早々のシーン。立ち上がりの3分、横浜FCはDF高木友也が左サイドからクロスを送り、ファーサイドに走り込んだFWクレーベがヘディングシュートを放つ。これに対してGK前川黛也は自身がポストに衝突しながら身を挺してゴールを守ることに成功した。
「ヘディングシュートにはいろいろな種類があって、ゴールライン上でとどまって対応するほうがセーブしやすい場合があります。距離を詰めるのとは逆に、横に動いてセーブするための時間を稼ぐという考え方です。前川選手はどうしてもお父さんが元日本代表ということで比較されがちですが、お父さんがクラシックなスタイルなのに対して、とても現代的なGKというイメージがあります。コンスタントに試合出場を重ねることで自信をつけていると思いますし、攻撃陣にタレントが揃っているヴィッセル神戸というチームで守備の重要性を体現している選手です」
沖悠哉、朴一圭、前川黛也。Jリーグを盛り上げる守護神たちが最後尾に構えている。
■楢﨑正剛
1976年4月15日生まれ、奈良県出身。1995年に奈良育英高から横浜フリューゲルスに加入。ルーキーながら正GKの座を射止めると、翌年にJリーグベストイレブンに初選出された。98年シーズン限りでの横浜フリューゲルス消滅が決まった後、99年に名古屋グランパスエイトへ移籍。2010年には、初のJ1リーグ優勝を経験し、GK初のMVPに輝いた。日本代表としても活躍し、国際大会では2000年のシドニー五輪(OA枠)、02年日韓W杯などに出場。19年1月に現役引退を発表し、現在は名古屋の「クラブスペシャルフェロー」に加え、「アカデミーダイレクター補佐」および「アカデミーGKコーチ」を兼任。21年からはJFAコーチとしても活躍している。
(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)