【月間表彰】「常勝クラブ」のゴールを守る21歳 鹿島GK沖悠哉を元日本代表の守護神が絶賛するワケ
スポーツチャンネル「DAZN」とパートナーメディアで構成される「DAZN Jリーグ推進委員会」との連動企画で、元日本代表GKとして活躍した楢﨑正剛氏は6月のJリーグの「月間ベストセーブ」に鹿島のGK沖悠哉選手を選出。名門クラブのゴールマウスを守る21歳を高く評価するワケとは――。(取材・文=藤井雅彦)
6月のベストセーブは「クロスからのシュートセーブ」 その選出理由は?
スポーツチャンネル「DAZN」とパートナーメディアで構成される「DAZN Jリーグ推進委員会」との連動企画で、元日本代表GKとして活躍した楢﨑正剛氏は6月のJリーグの「月間ベストセーブ」に鹿島のGK沖悠哉選手を選出。名門クラブのゴールマウスを守る21歳を高く評価するワケとは――。(取材・文=藤井雅彦)
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6月の「月間ベストセーブ」を選ぶにあたり、楢﨑氏は対象試合をチェックしていた。候補となるシーンと選手をいくつかピックアップ。すると共通点があることに気づいた。
「セットプレーも含めて、偶然にもクロスからのシュートを止めるシーンを多く選んでいました。横からのボールは目で追いにくく、ポジション修正も難しい。サッカーではよくあるシチュエーションですが、実はGKの真価が問われます」
ベストセーブに推挙したのは、6月20日の第18節鹿島アントラーズ対ベガルタ仙台での鹿島GK沖悠哉のセービングだ。
スコアレスで迎えた34分、仙台が左CKを獲得。キッカーのMF関口訓充がニアサイドに鋭いボールを送り、マークをかいくぐったDF平岡康裕が頭で合わせる。このボールが沖の目前でFW西村拓真に当たり、コースが変わった。突然の出来事だったが、沖は瞬時に反応して右手一本で弾き出すことで難を逃れた。
このシーンを楢﨑氏が分析する。
「まずCKの性質として、守備側はニアサイドの対応がとても難しい。あえてニアサイドのゾーンに人を割いてボールを跳ね返すのがセオリーですが、質の高いボールを入れられて、中に入ってくる選手とタイミングが合えばシュートを打たれてしまいます。それに対してGKは準備時間が少なく、このシーンのようにスクランブル状態のゴール前でイレギュラーなコース変化が起きることもあります。自分のタイミングで守れないという点で、高度なスキルを求められるセービングです」
一度はシュートに反応するも、不意にコースが変わる。場合によってはお手上げになってしまうこともあるが、沖のセービングシーンでは幸いにも守備範囲内だった。
「体の近くにボールが飛んできたので運が良かった部分もありましたが、それでも反応が遅ければ弾くのは難しかったでしょう。反射神経や動物的な勘が求められ、ゴールの外にボールを弾く動作も簡単ではありません」
プロ4年目の沖は鹿島アントラーズの育成組織出身で、今季は開幕から全試合ゴールマウスを守っている。東京五輪に出場するU-24日本代表の最終選考にも残っていたように世代を代表するGKの一人で、アグレッシブなプレーが持ち味の選手だ。伸び盛りな21歳のGKは百戦錬磨の楢﨑氏の目にどう映っているのだろうか。
「試合経験を重ねて大きく伸びているタイミングだと思います。もともとのアグレッシブなプレースタイルに加えて、安定感を向上させてコンスタントに力を発揮できれば、もっと上を目指せる選手になれるでしょう。そして鹿島という常勝クラブで若くしてゴールマウスを守るのは大きな責任やプレッシャーがあるはず。以前、ソガ(曽ヶ端準)と話した時にそういった精神面の重圧について話していました。沖選手にはそのプレッシャーに打ち克ち、日本を代表する選手になってもらいたい」