【月間表彰】元日本代表×チョン・ソンリョン対談…「GK心理として非常に嫌」と称えたキッカーとは
GKが変わっているのは世界共通の認識だった!?
――余談ですが「GKは変わっている人が多い」と聞きます。お二人はどのように思いますか?
ソンリョン「僕自身は変わっていないと思います」
楢﨑「みんな自分ではそう言うよね(笑)」
ソンリョン「そうですね(笑)。でもそういった言われ方をすることも多いみたいですね」
楢﨑「やっぱり韓国でもそうなんだ! 聞くほうが愚問だよね? それに『僕は変わっています』と自分で言うGKはいない(笑)」
ソンリョン「絶対に言わないです(笑)。フィールドプレーヤーからGKになった選手が多いと思いますが、ナラさんは何歳からサッカーを始めたのですか?」
楢﨑「本格的に取り組むようになったのは13歳くらいだったかな。それまではFWもやっていたけど、本格的に取り組むようになってからはGKとしてプレーするようになったんだ。ソンリョン選手は?」
ソンリョン「僕は小学5年生の時にサッカーを始めて、最初はDFでした。GKになったのは中学1年生の時です。韓国にいる小学5年生の息子もGKなんです」
楢﨑「GKのことなら教えられるからいいよね。ウチの子どもはFWだから、僕は何も教えられない(苦笑)」
ソンリョン「サッカー選手の血が流れているからきっと大丈夫ですね」
――GKというポジション柄、失点してしまう場面もどうしてもあると思いますし、かといって得点チャンスはほとんどありませんよね。それでもGKを続けているメンタルの強さに感服します。
ソンリョン「それがすべてのGKの宿命です。GKはゴールを守らなければいけないし、それが職業です。でも僕は韓国でプレーしている時にGKコーチに言われたことがあります。『GKはゴールされる職業だ』と。最初はその意味が全く分からなかったですが、それはすごくポジティブな言葉なんです。ゴールされたとしてもプレーを続けなければいけないですし、チームを守り続けなければいけません」
楢﨑「また育成年代の子どもたちに伝える言葉が増えました(笑)。みんなその重い宿命を背負っていて、だから比較的変わっている人間に見えるのかもしれないね。ソンリョン選手はこれからACLもあるし、なかなかハードな日程だね。勝ち続けるのは大変だと思うけど頑張って! 応援しているよ」
ソンリョン「今日は本当にありがとうございました。直接お会いして話したかったですが、まるですぐ横にいて話しているかのように楽しい時間でした。ナラさんにまた選出してもらえるように頑張ります」
楢﨑「新型コロナウイルスが収束したら、食事に行く約束を果たしましょう」
ソンリョン「ぜひ、よろしくお願いします!」
■楢﨑正剛
1976年4月15日生まれ、奈良県出身。1995年に奈良育英高から横浜フリューゲルスに加入。ルーキーながら正GKの座を射止めると、翌年にJリーグベストイレブンに初選出された。98年シーズン限りでの横浜フリューゲルス消滅が決まった後、99年に名古屋グランパスエイトへ移籍。2010年には、初のJ1リーグ優勝を経験し、GK初のMVPに輝いた。日本代表としても活躍し、国際大会では2000年のシドニー五輪(OA枠)、02年日韓W杯などに出場。19年1月に現役引退を発表し、現在は名古屋の「クラブスペシャルフェロー」に加え、「アカデミーダイレクター補佐」および「アカデミーGKコーチ」を兼任。21年からはJFAコーチとしても活躍している。
(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)