日本仕込みのバスケIQ 23歳・渡邊雄太が“ケンカ上等”米大学バスケで輝ける理由
生き馬の目を抜く米国で得たものは日本バスケ界の財産に
今ではA10カンファレンスでも最高級の2ウェイプレーヤーと評されるようになった渡邊は、献身的な姿勢に対しても評価は高い。ミッドメイジャーの強豪であるジョージ・ワシントン大で、1年生から出場時間を確保できたのはそれが要因だろう。日本人離れした才能、能力、さらに日本仕込みのバスケIQとプレーへの姿勢が上手く融合され、アメリカの舞台でも堂々たるプレーができる選手が生まれたのだ。
成長を続ける渡邊が、大目標に掲げるNBAに本当に辿り着けるかどうかはまだ分からない。しかし、“夢の行方”がどうあれ、生き馬の目を抜くようなアメリカのコートで得たものは、渡邊本人にとって、そして日本バスケットボール界にとっても大きな財産になることは間違いない。渡邊だけでなく、次の世代にまで――。日本、アメリカの両方のバスケットボールを熟知する選手の経験と言葉は、これから先にますます重要な意味を持って響いてくるはずである。
◇杉浦 大介
1975年、東京都生まれ。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、ボクシング、MLB、NBAなどを題材に執筆活動を行う。主な著書に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)、「イチローがいた幸せ」(悟空出版)。
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杉浦大介●文 text by Daisuke Sugiura