日本仕込みのバスケIQ 23歳・渡邊雄太が“ケンカ上等”米大学バスケで輝ける理由
称賛されたバスケIQ「日本でやってきたことが生きている」
アメリカのカレッジバスケ界に飛び込んだ直後のことを渡邊はそう振り返る。学生とはいえ、身体能力にあふれた選手たちはチーム練習時から闘志をむき出しにする。そんな中で力を示し、生き残った者だけが、ゲームに出る機会を得る。
上下関係に厳しく、礼儀正しい日本の部活動にも良い部分はあり、そこから得られるものも少なからずあるだろう。「文化の違いもあるので、一概にどっちが良いとは言えない」と渡邊も述べている。その一方で、純粋に1日の練習の成果を考えた時に、「こっちの選手の方が吸収しているものはたくさんあると思います」という渡邊の言葉を否定するのは難しい。何より、そんな激しいトレーニングを日常的に重ねてきたからこそ、今の渡邊があるのだ。
「甘い気持ちは捨てて、練習中から激しくやらないと世界を相手にするのは厳しいという風には感じています」
日本代表でのプレーも経験し、今ではNCAAのトップレベルで活躍している選手の言葉にはやはり説得力がある。ただ、アメリカでの生活も5年目に入った渡邊は、日本で学んだことも忘れているわけではない。尽誠学園で過ごした高校時代を振り返り、そこで手にしたものの大きさにも言及している。
「僕が通っていた高校の色摩(拓也)先生は、バスケットボールをとてもよく理解している聡明な方でした。(高校時代は)頭を使わないと、チームの連携が上手くできなかった。普段からそれをやっていたおかげで、こっちでもバスケットボールIQの高さは褒められたりもします。全体的に見て、日本の選手はアメリカ人と比べてもバスケットボールに関する賢さは負けていません。身体能力、激しさは明らかに違いますが、賢さ、一生懸命さは、日本でやってきたことが生きていると感じます」