「太ももはここ数年で一番太い」― なぜ中村俊輔は躍動し続けられるのか
「“連チャン”で結果を残す」ことの重要性
「残り10分しか出場時間がなくても、その10分で見せないといけない。もし自分がストレスを抱えたまま良くないプレーをしていたら、スタンドで見てくれている人から『俊輔、実力が落ちたな。だからサブなんだ』と思われてしまう。逆に良かったら『状態がいいのに、なぜ使われないんだろう』ってなる。だからその10分を大事にして全力でやったし、相手に激しいタックルもした。あのときはストレスをエネルギーに変えることができたのかもしれないなとは感じました。
先発のチャンスをもらったとき、この試合は何があっても勝たなきゃならないって強い気持ちで臨みました。勝てば次のチャンスをもらえるはずですから。でもその次も“連チャン”で結果を残さないとダメだってことは、イタリアでも経験したこと。ただ、チャンスを活かすことができたのは、毎日、いろんな準備をしてきたからというのが一番だとは思います」
壁と向き合い、エネルギーをためていく。そしてめぐってきたチャンスを絶対にモノにするために、強い気持ちを持ってエネルギーを一気に吐き出していく。
ためてきたエネルギーが中途半端ならば、求めたい結果も中途半端になる。真摯かつ必死になってためてきたからこそ、ここぞの勝負どころで爆発力が伴った。
2016年シーズンも中村俊輔の好パフォーマンスぶりが目を引く。プラスもマイナスも力に変えてきた男の凄みが、漂っている。
【了】
二宮寿朗●文 text by Toshio Ninomiya
大森大祐●写真 photo by Daisuke Ohmori