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将来的に脳へ悪影響? 米サッカー「10歳以下のヘディング禁止ルール」のその後

ある指導者は「ヘディングの指導の情報が少なすぎる」と嘆き

 しかし、リスクがあるかもしれないヘディングを禁止したことで、すべて丸くおさまったかといえば、そうではない。

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 ヘディングそのものよりも、相手選手の頭やひじと衝突する衝撃のほうが大きいのではという意見もある。

 ヘディングは11歳以上、中学生、高校生年代の試合では制限がない。それなのに、10歳以下のヘディング禁止から、ヘディングを試合で使う10代半ばにかけての移行期に、どのようにしてヘディングを身につけていくのか、という指導者向けの情報も少ない。

 米ミシガン州デトロイト郊外で、ユースサッカーチームの運営・指導をするFC Brilliant代表の高橋亮さんは「ヘディングの指導についての情報が少なすぎる、ほとんどない」と話す。高橋さんは、小さいうちにできるだけ衝撃の少ない方法を体で学ぶという方法もとれない、という。

 米サッカー協会は世界に先駆けて、子どものヘディングを禁止した。しかし、そのルールを完全に咀嚼できていないように見受ける。

 12歳や13歳以下では、練習の回数を制限しているのに、なぜ、試合では使ってもよいのか。練習で衝撃を受ける回数を減らしても、試合で何度も使うのはよいのか。うまく咀嚼できないのは、サッカーのヘディングが選手の脳にどのような影響があるのかがはっきり分からないことや、悪影響があるかもしれないとしても、現時点では大人のサッカーの試合からヘディングをなくすことは考えられないからだろう。前述したように米国では11歳以上の子どもにどのようにヘディングを指導するかという移行期のプログラムも十分とはいえない。

 後から子どものヘディングを制限したイングランドサッカー協会のコーチングが、今度は、米国の指導法に何らかの変化をもたらすのか。子どものヘディング禁止は英米以外の国にも広がり、ヘディングの指導法にどのような変化があらわれるのか。注目したい。

(谷口 輝世子 / Kiyoko Taniguchi)

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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