【THIS IS MY CLUB】「僕が引退後も山雅で仕事を続ける理由」 松本山雅・鐡戸強化担当の“クラブ愛”
再開後のチームへ「勇気を与えるようなプレーを」
最近、ふと寂しさを感じる出来事があった。
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松本山雅は通常時ならば週2回程度は練習を一般公開し、平日でも約100人のファン・サポーターが練習に訪れて賑わいを見せる。しかしコロナ禍の昨今、感染拡大防止策として非公開練習にせざるをえない。応援する者にとっては選手を身近に感じられる他愛もない会話機会はなくなり、お気に入りの選手との写真撮影もできなくなってしまった。
現状を目の当たりにした鐡戸は、リーグ戦再開後のチームへの期待を口にする。
「応援に来てくれる人たちが元気になって、勇気を与えるようなプレーを見せてほしい。強化を担当している僕がこんなことを言うのは語弊があるかもしれないけれど、もし試合に勝てなくても足を運んでくれた方々が『また応援したい』と思えるようなクラブで在り続けなければいけない。
ハードワークや最後まであきらめない姿勢をいつでもできるチームでいなければいけない。相手に関係なく、雨や雪が降っていたとしても、そしてホームでもアウェイでも、誰が試合に出場しても変わらない姿勢が松本山雅FCなんです。それがスタジアムに来てくれる方々や、DAZN中継で応援してくれる人に勇気を届けるはずだから」
だから鐡戸はもうすぐ再開するリーグ戦に向け、今日も裏方として汗を流す。
松本で過ごす12年目は、変わらず寒い冬だった。それを忘れさせてくれるサポーターの熱をさらに盛り上げるために。鐡戸にはやるべきことがある。
「山雅のサポーターは、チームが勝っても負けても励ましてくれます。特に、負けた時にポジティブな声をかけてくれるんです。時間とお金を割いて足を運んでくれているわけだから、不甲斐ない試合なら文句の一つでも言いたくなってもおかしくないのに、次の試合に向けて背中を押してくれる。
僕が引退してからも山雅で仕事を続けているのは、選手時代に支えてくれたサポーターや地域の人に恩返しをしたかったから。昨年まではアンバサダーとして貢献し、今年からは強化担当に選任することでどの時代、どんな選手、監督になっても応援されるクラブを作っていきたいと思っています」
鐡戸裕史の松本山雅FCライフはこれからも続いていく。
(敬称略)
(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)