【#キミとONETEAM】「オンライン上でも顔を見て、人とつながろう」―早大ラグビー部監督・相良南海夫
「直接会えなくても、人とつながる機会を作ることはできます」
今は子どもたちは学校に行けず、友達にも会えず、つらい思いをしていると思います。家族と過ごす時間はもちろんですが、もし一人暮らしの学生さんでも、今はZoomだったりLINEだったりで、人とつながる機会を作ることはできます。直接会うことは難しいですが、実際に顔を見ながら、会話の時間を増やすことをお勧めします。
すごく小さいお子さんには難しいかもしれませんが、今までの自分を振り返ってみましょう。一人になったときに、まわりのみんなのありがたさを思いだして欲しい。私が選手にも話したことですが、チームスポーツは一人一人が責任を果たしてこそです。一人一人がレベルアップすることで、チームがレベルアップする。今の時間で個々がどうやって成長するのか、目的に向かう姿が大事です。
私は2年前の2月に監督に就任しました。早稲田の100周年というのもあって、周囲からは「火中の栗を拾うようなものだ」とか、「プレッシャーも凄いだろう」と心配されていたみたいです。ただこれもめぐり合わせ。指名されることは光栄なことだと思い、あまり背伸びせずにやろうと、私に成績は求めていないだろうと思って(笑)。
だから100周年というよりは次の100年のスタートを切るという意味でも、早稲田が今まで大事にしてきたものを、より大事にしていこうと考えました。もともと戦力としては、齋藤(直人=現サントリー)をはじめとしていい選手がたくさんいました。
私は就任して最初に「やるのは自分だよ。自分たちが手に入れたいものは何なのか。それに向かって自分たちが考えて、主体的に取り組まないと手に入らないよ」と伝えました。そういう姿勢で一貫して選手には向き合ってきました。積み重ねの中で、選手たちは自分たちで努力をして、2年前に監督になったときよりは多少は意識の底上げができてきていると思います。
だから今もポジティブに考えるようにするならば、自分で考えて何をすべきか向き合うにはいい時間だと思います。逆に監督、コーチがあまり差し伸べないようにすることが大事だと感じています。実際に私から今、伝えていることは、ほとんどありません。安全と健康が一番だと。そこに関しては自分が得た情報を、マネージャー経由で配信してはいますが、手洗いうがいの大切さなど、本当に基本的な話だけです。選手も指示を“くれくれ”と待つ方が楽、やっぱり与えられる方が楽なんです。逆に何かあれば選手から、受け身じゃなくて聞いてきて欲しいなと思います。
【#きょうのトライ「トイレの掃除をしましょう。きっと気づきがあります」】
トイレの掃除をやってみましょう。今までお母さんが当たり前のようにしてくれていたことかもしれません。ただのトイレ掃除かもしれないですが、真剣にやってみると、こんなところが汚れていたとか、次の人が気持ちよく使えるようにとか、色々なことに気付けるんじゃないかと思います。家族に感謝しながら、ぜひ挑戦してみてください。
■相良南海夫(さがら・なみお)
1969年8月14日、埼玉県出身。早大学院高でラグビーを始め、3年時に花園出場。早大2年時には、2学年先輩の清宮克幸主将(現日本ラグビー協会副会長)らとともに、大学選手権優勝。卒業後は三菱重工相模原でプレー。監督を務めた、06年度にはチームをトップリーグ昇格に導いた。2018年に早大の監督に就任。大学選手権の決勝でトライを挙げた昌彦は次男。現役時代のポジションは主にフランカー。
(次回は日本代表・姫野和樹さんが登場)
(THE ANSWER編集部・角野 敬介 / Keisuke Sumino)