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パティシエに憧れた少女がなぜやりを投げるのか 日本記録保持者・北口榛花の覚悟

東京オリンピックの開催を翌年に控えた2019年。陸上界に2度も日本記録を叩き出した強者がいる。やり投の北口榛花(はるか・日本大学)だ。5月の木南道孝記念陸上競技大会(木南記念)で従来の記録を56センチも更新する64メートル36で日本新記録を作ると、10月の北九州陸上カーニバルでは自身の記録を1メートル以上も超える66メートル00を投げた。同年シーズンでは世界でも7位という好成績で五輪参加標準記録を突破し、東京2020へ夢を繋いだ。

女子やり投の日本記録を持つ北口榛花【写真:荒川祐史】
女子やり投の日本記録を持つ北口榛花【写真:荒川祐史】

2019年には日本記録を2度更新、東京五輪の出場権も獲得

 東京オリンピックの開催を翌年に控えた2019年。陸上界に2度も日本記録を叩き出した強者がいる。やり投の北口榛花(はるか・日本大学)だ。5月の木南道孝記念陸上競技大会(木南記念)で従来の記録を56センチも更新する64メートル36で日本新記録を作ると、10月の北九州陸上カーニバルでは自身の記録を1メートル以上も超える66メートル00を投げた。同年シーズンでは世界でも7位という好成績で五輪参加標準記録を突破し、東京2020へ夢を繋いだ。

【特集】試練を越えて大躍進 女子やり投界・期待のエースが見据える世界の頂点 / 女子やり投・北口榛花インタビュー(GROWINGへ)

 長さ2メートル以上、重さ600グラムのやりを、助走をつけて遙か彼方66メートル先の空間まで飛ばす。どんな猛者なのかと思いきや、その素顔は満面の笑みが愛くるしい21歳女子だ。フンワリとした雰囲気を持つ姿を見ると、世界の最前線を争う鋭さや厳しさのようなものは感じられない。だが、その笑顔の下には他人には想像もつかない練習の日々が刻まれている。

 故郷の北海道を離れて東京の大学に進学したり、強豪国チェコのコーチに教えを請うため単身武者修行に出掛けたり、これまでいくつもの分岐点に立ち、自身の歩む道を選んできた。その中でも一番大きな岐路となったのは高校入学後、「やっぱりやり投を始めた時かなと思います」という。

 3歳の頃からスイミングスクールに通い、小学校ではバドミントンも始めた。小中学校では水泳とバドミントンの二刀流で様々な大会に出場。地元・旭川東高に進学した後も、水泳を続けるつもりでいた。だが、身長179センチという恵まれた体格に優れた運動神経を備え持つ生徒を、各運動部の監督が見逃すはずもない。「いろいろな部活から勧誘があった」というが、中でも熱心だったのが、陸上部の顧問を務めていた松橋昌巳氏(北翔大コーチ)の誘いだった。

「普通に勉強して高校に入って、入学後は水泳を頑張ろうと思っていたんです。水泳以外の競技をすると違う筋肉がつくから良くないって言われていたので、水泳だけを頑張ろうって思っていたのに、松橋先生が誘うから(笑)。最初はずっと断っていたんですけど、来るだけでいいからって何度も誘っていただいて、いろいろお話も聞いて、やりも投げさせてもらったら、なんだか楽しくて(笑)」

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