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大学指導者が失ってはいけない視点とは? 青学大・原晋監督が箱根駅伝「全国化」を訴え続ける理由

箱根駅伝に出場する選手の7割強が「関東以外の地域の出身者」

 トークセッション終了後、原監督は近年自身が主張する箱根駅伝の全国大会化について、社会課題の解決にかける形で、改めてその理由を説明した。

「今日のトークセッションにも絡んできますが、今の日本は東京(関東近郊)一極集中で、地方は人口減少が止まりません。データでは箱根駅伝に出場する選手の7割強が関東以外の地域の出身者です。彼らが東京に来て、その文化を感じて卒業後も定着する傾向が強いのは、体育会以外の学生と同じです。これでは、地方がどんどん疲弊します。

 逆に地方の高校生が地元に残って競技を継続し、地元で就職する構図ができあがれば、地方も活性化される。箱根駅伝を目指せる環境が地方にできれば、監督やトレーナー等の雇用も生まれ、競技人口の普及にもつながる。それが地方創生だと思います」

 そもそも箱根駅伝の創始者である金栗四三は、箱根駅伝を関東に限って作ったわけではない。目的は、日本の長距離界を世界で戦えるレベルに上げることだった。そして原監督は、現在は関東大会である箱根駅伝を全国大会にすることは、青学大にとってメリットがない点を強調する。

「例えば関西の立命館大や同志社大が強化に力を入れたら、それだけスカウトで青学大は不利になるわけです。でも私は、それでも社会的な視点から見て全国化すべきであると思っています」

 原監督の新たなコーチングは、100回目の箱根駅伝の先へとつながっていく。

(牧野 豊 / Yutaka Makino)

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牧野 豊

1970年、東京・神田生まれ。上智大卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。複数の専門誌に携わった後、「NBA新世紀」「スイミング・マガジン」「陸上競技マガジン」等5誌の編集長を歴任。NFLスーパーボウル、NBAファイナル、アジア大会、各競技の世界選手権のほか、2012年ロンドン、21年東京と夏季五輪2大会を現地取材。22年9月に退社し、現在はフリーランスのスポーツ専門編集者&ライターとして活動中。

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