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1位じゃないとダメなのか 元オリンピック選手と考える「教育の日本らしさと弱点」

元五輪スプリンターの教えを学校で受けられるというカリキュラムを通じて、生徒達は“本物”を体験する【写真:編集部】
元五輪スプリンターの教えを学校で受けられるというカリキュラムを通じて、生徒達は“本物”を体験する【写真:編集部】

「金メダルを獲った人にお金を出すことは誰でもできる」

山口「私が公立の小学校の教師をやっていた時、『何になりたい』と聞くと、職業的には言えるんです。医者、サッカー選手とか。じゃあ、どういう○○に……というところが聞かれてない。そこに人間性があります。サッカー選手になっても、ただ強いサッカー選手なのか。イメージしているのは、どういうサッカー選手で、人からどう思われて、サッカー以外ではどんな人間関係で……。医者なら患者さんとどういう会話をしている医者になりたいか、というのが抜けている。うちはそこから聞いていって、なりたいことのイメージが具体的に語れて、やりたいことが言える子を育てたいのです。

 スポーツ選手も、スポーツを通じて文化にこう貢献したい、だから人とはこう付き合う……という部分まで語れるようにしてスポーツをやっていくと、スポンサーも人間性に対して、お金を出せるようになるかもしれない。ただ強いだけじゃなく、その人の生活から物の考え方、それでスポーツという分野でスポンサーになってくれたら、1位でなくてもいいと思える。1位の人だけにお金をかけていくと何かあった時に良くない。それが現状だから。スポーツだけだと人間性が伴ってないこともあるし、悪いことをやってしまうことも起こりうるでしょうから」

今井「結果が残っているからスポンサーにつくというのがあるけれど、目指しているところを応援するためにスポンサーになろうというのもようやくできてきたかなと思います。結果に結びつく前から応援を始めて、それが結果を生んでウィン・ウィンの関係になる、そういう風になるのがいいなと思います」

山口「投資会社の人の言葉で『今、儲かっている会社に投資しない、50年後に儲かる会社に投資する』というのを読んだ時、おっと思ったし、うちもそういう会社になりたいのです。スポーツ選手も今だけじゃなく、この選手は考え方も人間性もしっかりしているからプラスになるよねという意識で投資が生まれるといい。投資ってそういうことだよなと。今、金メダルを獲った人にお金を出すことは誰でもできる。そういう文化になればいいよね。間違いなく、こういう人間性であれば伸びると」

(終わり)

◇「LCA国際小学校」とは?

 2008年に文科省に認可された株式会社が経営する私立校。担任を外国人教師が務めるなど、学校生活の大半を英語で過ごす独自のアクティブイマージョン教育を取り入れている。1クラス約20人の少人数制。サマーキャンプ、音楽鑑賞など、自然、芸術の本物と触れ合う機会を積極的に持っている。姉妹校のオーストラリア・ヒルズ学園への短期留学制度もある。校長・西村昭比古。神奈川県相模原市緑区橋本台3-7-1。

<山口 紀生>

 1978年、横浜国大教育学部卒、相模原市立小で教鞭を執る。85年に退職し、私塾「LCA」を設立。英会話スクール、幼児教室を開設し、自らも指導にあたる。01年に株式会社エル・シー・エー設立。2000年、「LCAインターナショナルプリスクール」開設。05年学校の教科を英語で指導する「LCAインターナショナルスクール小学部」開設。08年に文科省の認可を受け、「LCA国際小学校」に。日本初の株式会社小学校校長に就任。東京都中央区国際教育推進検討委員会副委員長などを歴任し、16年にLCA国際学園に名称変更。学園長に就任し、社名を株式会社エデューレエルシーエーに変更した。著書「どうしてこんなにできる子ばかり」「親子作文ワーク」(オクムラ書店)、「子育ての詩」「つれづれそう」(LCA出版部)、「親子でつくる見たこと作文」(エデューレコミュニケーションズ)。

<伊藤 友広>

 国際陸上競技連盟公認指導者資格(キッズ・ユース対象)。高校時代に国体少年男子A400mで優勝。アジアジュニア選手権の日本代表に選出され、400m5位、4×400mリレーではアンカーを務め優勝。国体成年男子400mで優勝。アテネ五輪では4×400mに出場。第3走者として日本過去最高順位の4位入賞に貢献。元200メートル障害アジア最高記録保持者の秋本真吾氏とともにスプリント指導のプロ組織「0.01」を主宰し、全国の子供たちを対象としたかけっこ教室などを手掛けている。

(THE ANSWER編集部)

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伊藤 友広

元陸上五輪代表

国際陸上競技連盟公認指導者資格(キッズ・ユース対象)。

1982年8月16日生まれ。秋田県出身。国際陸上競技連盟公認指導者(キッズ・ユース対象)。大曲高(秋田)で国体少年男子A400メートル優勝。アジアジュニア選手権400メートル5位、同1600メートルリレーはアンカーで優勝。国体成年男子400メートル優勝。卒業後は法大に進学。04年アテネ五輪男子1600メートルリレーの第3走者として日本歴代最高の4位入賞に貢献。現在は秋本真吾氏らとスプリント指導のプロ組織「0.01 SPRINT PROJECT」を立ち上げ、ジュニア世代からトップアスリートまで指導を行っている。
http://001sprint.com/

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