子供はどう褒めれば伸びるのか 元オリンピック選手と考える“教える”の価値
外国の文化を直輸入しがちな日本の問題点とは?
今井「日本の教育は、ゆとりと詰め込みが繰り返されていますが、どうしても日本は歴史的に見ても外国の文化を直輸入するようなところが癖としてあります。それはスポーツも教育も同じ。昨今は北欧の教育制度が注目されていますが、そもそも教育は制度そのものを見るのではなく、その国の文化や歴史、社会的背景を含めて捉えるべき。欧州で培われた社会文化にある教育メソッドと、日本というユニークな歴史的背景の国で教えるべきこととは少し差違があると感じます」
山口「わざわざ北欧まで行かなくても、目の前の子供をちゃんと見ていればやるべきことは分かります。行くんだったら“参考”でしょう。元はしっかりとあった上で、他はどうしているのかと見て取り入れるものを入れ、修正すべきことを修正するのはいい。それをそのままやろうとするからおかしくなる。まずは自分でやって、考えてから見に行くから意味があるわけで」
伊藤「陸上もすごく多いです。有名な海外コーチに短期間で行って習ってくるけど、走りを崩して戻ってきたり、合わなかったということが珍しくない。サニブラウン選手は米国の大学に行ってどっぷりと指導を受けるということに挑戦していますが、それは良いと思います。短期間で行って、持ち帰ってこようとすると難しい部分も多いのかなと思います」
(9日掲載の後編は「コミュニケーションにおける日本らしさと弱点」)
◇「LCA国際小学校」とは?
2008年に文科省に認可された株式会社が経営する私立校。担任を外国人教師が務めるなど、学校生活の大半を英語で過ごす独自のアクティブイマージョン教育を取り入れている。1クラス約20人の少人数制。サマーキャンプ、音楽鑑賞など、自然、芸術の本物と触れ合う機会を積極的に持っている。姉妹校のオーストラリア・ヒルズ学園への短期留学制度もある。校長・西村昭比古。神奈川県相模原市緑区橋本台3-7-1。
<山口 紀生>
1978年、横浜国大教育学部卒、相模原市立小で教鞭を執る。85年に退職し、私塾「LCA」を設立。英会話スクール、幼児教室を開設し、自らも指導にあたる。01年に株式会社エル・シー・エー設立。2000年、「LCAインターナショナルプリスクール」開設。05年学校の教科を英語で指導する「LCAインターナショナルスクール小学部」開設。08年に文科省の認可を受け、「LCA国際小学校」に。日本初の株式会社小学校校長に就任。東京都中央区国際教育推進検討委員会副委員長などを歴任し、16年にLCA国際学園に名称変更。学園長に就任し、社名を株式会社エデューレエルシーエーに変更した。著書「どうしてこんなにできる子ばかり」「親子作文ワーク」(オクムラ書店)、「子育ての詩」「つれづれそう」(LCA出版部)、「親子でつくる見たこと作文」(エデューレコミュニケーションズ)。
<伊藤 友広>
国際陸上競技連盟公認指導者資格(キッズ・ユース対象)。高校時代に国体少年男子A400mにて優勝。アジアジュニア選手権の日本代表に選出され、400m5位、4×400mリレーではアンカーを務め優勝。国体成年男子400mで優勝。アテネ五輪では4×400mに出場。第3走者として日本過去最高順位の4位入賞に貢献。元200メートル障害アジア最高記録保持者の秋本真吾氏とともにスプリント指導のプロ組織「0.01」を主宰し、全国の子供たちを対象としたかけっこ教室などを手掛けている。
(THE ANSWER編集部)