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異色の25歳“校長”が挑む育成革命 高校サッカー強豪校の課題補う理想の環境とは

淡路佐野運動公園は2002年日韓ワールドカップの際にはイングランド代表が拠点とした【写真:Getty Images】
淡路佐野運動公園は2002年日韓ワールドカップの際にはイングランド代表が拠点とした【写真:Getty Images】

寮も完備、午前中にトレーニングを済ませてしっかり休養

 最近はJリーガーでも、通信制で高卒の資格を取る選手が増えているが、ここでは個々が主体的に学習時間を選択し、教師のサポートを受けながら進めていくことができる。

「朝の9時からトレーニングをして、午後は学習やセミナーに充てる予定ですが、もし天候の都合などグラウンドが使えなくなれば、臨機応変に勉強へと切り替えることもできます。生徒は集中して、それぞれの課題に取り組む。またテーマを設けて、ディスカッション形式で互いに意見を言い合える場も提供していきます」

 寮も完備し、全日制の高校と同じようにチームとして活動をしていくが、あくまで優先されるのは個の育成で、勝利至上ではない。

「高いレベルでプレーできる選手が出れば喜んで送り出します。しかし、残ったメンバーで最善を尽くしてタイトルも狙いにいきます」

 通信制のメリットを活かすことで、大所帯の部活が内包していた課題が解消できる。学習センターでは、プロの選手と同じように午前中にトレーニングを済ませるので、しっかりと休養が取れて、翌日にはフレッシュな状態でピッチに立てる。さらに専門家が栄養価を検証し、無農薬の野菜など新鮮な素材を活かしパワーの出る食事を提供していく。

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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