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「哲学を抱ける選手はぶれない」― 杉山愛の母が語る「良い人間」に育つ条件

強くなって「練習がつまらない、レベルが低い」という教え子にかけた言葉とは?

――その意味では、杉山さんが育てた穂積絵莉選手(※2016年リオオリンピックにダブルスで出場。2017年全豪オープンダブルスで加藤未唯と組んでベスト4)は常に「テニスを通じて、人の心を動かすこと」が目標だと公言していますよね。

「彼女(穂積)の場合は、また少し特別で(笑)。彼女の母親は若い頃に、私が(杉山)愛を連れて通っていたテニスクラブの受付をやっていたんです。その時に私と幼い愛を見て『自分に子供ができたら、こういう子育てがしたい』と思っていたそうなんです」

――そうなのですか!? それで杉山さんの教えの影響が大きいのですね。

「そうなのかもしれません。実はわたしはあまり覚えていないのですが、絵莉と母親がわたしに言われたことで、凄く良く覚えていると言っていることがあるんです。それは絵莉が、日本のトップレベルのジュニア選手になった頃のこと。それくらい強くなると、どこのテニスクラブに行っても同等レベルの選手がいなくなるので、絵莉が『練習がつまらない、レベルが低い』と不満を言っていたそうです。

 その時にわたしは母子を呼び出し、『セリーナ・ウィリアムズもロジャー・フェデラーも世界のナンバー1で、自分より弱い選手しかいないにも関わらず、その地位を維持している。あなたが自分より下のレベルの子と練習する時、そのなかでどうやれば自分のレベルを上げられるか? どうやったら楽しい充実した練習ができるかを考えていくのが、今後重要になるよ』と言ったそうです。

 確かに絵莉には、テニスをする目的とは何か? それを仕事とし、プロになるとはどういうことかというのを、しっかり伝えたことは覚えています。愛にも、そういうことを言っていました。愛は、『自分が好きなことをできて、それが人の役に立つなんて素晴らしい仕事だと思ってプロになった。人に元気と勇気を与えることを目標にしている』とよく言っていました。愛のその言葉を、絵莉も子供の頃から身近に聞いていたので、その影響もあると思います」

(続く)

【了】

内田 暁●文 text by Akatsuki Uchida

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