「子供の所有物化」はNO 杉山愛の母が考える「“脱”モンスターペアレンツ」の方法
子供を育てる親を育てる―“アスリートの親”育成組織「JAPA」の狙いとは?
――まずは、JAPA創設の経緯を教えて頂けますか?
「2011年に『一流選手の親はどこが違うのか』という新書を上梓したのですが、それを読んで下さったJOCの方から『アスリートの親の育成をやりませんか?』と声を掛けて頂いたのがきっかけです。そこでJOCの『アスリートのセカンドキャリア支援』プロジェクトの一貫として、2011年から2014年まで、文部科学省の管轄で講演会などの活動をさせて頂きました。
多くのアスリートの親が、スポーツと学業の両立や、モンスターペアレンツのことなど、色々な悩みを抱えていると思います。そのなかで、私が実際にご両親に話を伺ったり、大学院で勉強をする中で至った結論は、『スキルだけでなく、人間力が一番大切』ということです。スキルはトレーナーやコーチが育てますが、人間力は親が育てるもの。その親の無償の愛情が変な方向に進み、潰れてしまったアスリートもいます。その現実も踏まえた上での講演会を全国を回り、何千人という方に聞いて頂きました。
その後、このプロジェクトをこのまま終わせるのはもったいないよねという話になり、江副記念財団さんの助成を受けて、2016年4月から『ジャパンアスリートペアレンツアカデミー(JAPA)』という形でスタートしました。今年度(2017年4月)からは、また色々な企業等から助成を頂き継続していこうと思っています。
講師は、オリンピアン・パラリンピアンのご両親に基本的にやって頂いていますが、他にも栄養士さんやアスレティックトレーナー、理学療法やお医者様にも講演して頂いています。受講者の方々は、必ずしもアスリートの親ではありません。子供の人間力を育てることがテーマですから、どなたでも関心のあるテーマだと思います」