指導者に何が求められるのか 「チームのために戦える場所」を与える義務と責任
子供はみんな試合に出たい。監督もみんなを試合に出したい。
【連載コラム】ドイツ在住日本人コーチの「サッカーと子育て論」――試合に出たい子供を起用するには
子供はみんな試合に出たい。監督もみんなを試合に出したい。
でも、試合となると誰だって勝ちたくなるし、試合にのめり込んでいろんなことを考えているうちに、選手交代のタイミングを見誤ったり、何人かの選手を出場させられないこともある。先日、U-10チームの試合で最後まで出場できなかった子供が2人いたという。普段は心優しく、ちゃんとみんなを起用する監督だが、その日はチームの出来があまり良くなかったこともあり、どこか他のことに気を奪われてしまったのだろうか。
楽しみにしていた試合に出られなかった悲しみは大きい。1人は他の用事をキャンセルしてこの試合に駆けつけていたと、お父さんが話していた。
後日、自分のミスを認めた監督は、自身の起用法をチームの前で子供たちに謝った。子供たちにもその想いはしっかりと伝わった。
1週間後の次のリーグ戦、チームは相手に3点リードを許すという展開だったが、監督は全選手をしっかりと起用した。誰も諦めなかった。みんなが精一杯のプレーをしようと走った。思いが一つになった時のチームは強い。後半猛攻を見せたチームは、6-5の逆転勝利を飾った。