[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

「それは指導者の手抜きです」 高校サッカーの英雄が疑問を抱いた“走るだけ”の練習

「走るだけでは選手は伸びません。それは指導者の手抜きです」――三渡洲アデミール(アデミール・サントス)

東海大一高の“助っ人”として選手権を沸かせた三渡洲 違和感を覚えた他校の練習内容

「走るだけでは選手は伸びません。それは指導者の手抜きです」――三渡洲アデミール(アデミール・サントス)

 三渡洲アデミールは、ブラジルから日本の高校への助っ人第一号だった。高校入学年齢より1年遅れで東海大一高校(現・東海大翔洋高校)へ編入すると、2年目には全国高校選手権で鮮やかなFKを決め、チームを優勝に導いている。名門校揃いの静岡県予選を初めて突破し、一気に全国の頂点に駆け上った。

 一方で東海大一に入学したことは、三渡洲にとっても幸運だったかもしれない。もし名門高校で理不尽な練習を強いられたら、途中で挫折していた可能性があった。

「静岡県選抜とかで他の学校の話を聞くと、清水商業や清水東は相当走り込みをやらされているようでした。でも僕らは違った。毎週月曜日は必ずオフだったし、練習もゲーム形式がほとんどで、ただ走らされるようなメニューはなかった」

 同校を率いる望月保次監督(当時)は考えた。

「清水商業や清水東には清水FC出身のエリートが次々に入ってくる。そこに体力やスピードで勝負しても勝てない。だからテクニックを磨き、トレーニングは量より質を追求することにしました。試合数を半分近くに減らして、それぞれの試合にフレッシュな状態で臨ませることにしたんです。基本的に高校生は成長過程なので、20歳になった時に、どんなチームへ行ってもプレーできるように、と考えて指導をしていました」

 そんな方針が、ブラジル育ちの三渡洲に適合した。チームメイトには、澤登正朗、大嶽直人ら、後に日の丸をつける錚々たる選手たちがいた。三渡洲は指摘する。

1 2

加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集