子供の「楽しい」は鵜呑みにできない ドイツの育成現場で繰り返される試行錯誤
今季から小学1年生の次男はFユーゲント(U-8)。ドイツでは生まれ年でチーム分けが行われるので、小学1年生と2年生が一緒になる。最初の練習時にコーチが子供たちにこんなことを言っていた。
【連載コラム】ドイツ在住日本人コーチの「サッカーと子育て論」——“団子サッカー”にさせないための環境整備
今季から小学1年生の次男はFユーゲント(U-8)。ドイツでは生まれ年でチーム分けが行われるので、小学1年生と2年生が一緒になる。最初の練習時にコーチが子供たちにこんなことを言っていた。
「今日からみんなはFユーゲントだ。これまでのサッカーからちょっと成長して、次のステージに進めるように頑張ろう」
サッカーはポジショニングスポーツとも言える。それぞれがバラバラな動きをするのではなく、フィールド上にある約束事を少しずつ身につけていくことが大切だ。
ミニゲームが始まるとコーチは「そんなにごちゃごちゃしてたら、ボールもらえないよ。広がってごらんよ」としきりに声をかけるが、子供たちはまだピンとこない。子供的には広がってと言われたから広がってみた。でも外から見た、その動きは1メートル後ろに下がったくらい。コーチが頭を抱える。
でもそれが当たり前なのだ。「広がる」という言葉が自分がすべき動きとリンクしていないし、リンクしたところで、広がることで自分がサッカーに関われている、サッカーが上手くなっているという実感がまだ乏しい。「何のために?」が納得できないと、勢い良くサッカーはできない。