聖ウルスラ英智、創部13年目で男子団体初V “泣き虫先生”が伝えた人生で大切なこと
ハートで接する監督に主将「泣かせてやりたいと思っていた」
叱るときも生徒たちの表情をよく観察し、周りの人から情報を集めて状況を把握してからアドバイス。選手たちが「熱い人」と口をそろえる指揮官は、恋バナだってしてくれる。「君たちが応援してもらえるのは、バドミントンの成績があるからじゃないよ。普段の振る舞い。人との付き合いで回っているんだから」。練習環境が良くなるにつれ、口酸っぱく伝えた。
7月にアジアジュニアに出場する主将の藤澤と熊谷がチームを離れた。インターハイ前の大事な時期。藤澤はグループLINEでチーム状況を逐一確認した。しかし、戻った時に異変に気付いた。「インターハイへの準備ができていないんじゃないか」。空気の緩さを察知。主将と他のメンバーに距離感があったが、畑山監督も間に入って会話を重ねた。指揮官は「大会に入ってもふわっとしていた」と語るが、勝利を重ねるうちに、選手同士が「自立」で一枚岩になった。
「やるのは選手。自己責任で」と団体戦のオーダー決めも選手中心。ずっと目標にしてきた全国制覇を手にした瞬間も、選手たちはコートに飛び出すことはせず、ベンチ内で少し控えめにガッツポーズを作った。「相手がいて、この場がある」と監督が口癖のように語る敬う気持ちをしっかりと体現した。
試合後の取材中でも涙目で言葉を並べる“泣き虫先生”。藤澤は「選抜の準々決勝で勝って少し泣いて、準決勝の後も少し泣いて、準優勝しても泣いていた。本当に熱い人です。優勝して、また泣かせてやりたいと思っていた」とニヤリ。嬉し涙を流す姿を笑顔で喜んだ。
監督の12年間の苦労を知る今の部員たち。「まだ個人戦がある。ここから乗りに乗って、また泣かせたいと思います」と主将は宣言した。3日からの個人戦。ハンカチが必要だ。
◇インターハイのバドミントンは1日から5日まで熱戦が繰り広げられる。今大会は全国高体連公式インターハイ応援サイト「インハイTV」を展開。インターハイ全30競技の熱戦を無料で配信中。また、映像は試合終了後でもさかのぼって視聴でき、熱戦を振り返ることができる。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)