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僅差の8強敗退も「楽しかった」 監督の“喝”で再結束…泣いて笑って大忙し、かけがえのない夏の物語

全国高校総体(インターハイ)ハンドボール女子は、8月3日から8日まで岡山県総社市と倉敷市の会場で熱戦が繰り広げられた。飛騨高山(岐阜)は、6日の準々決勝で神戸星城(兵庫)と対戦。24-26の僅差で敗れ、今夏の戦いを終えた。

チーム一丸でインターハイを駆け抜けた飛騨高山高校ハンドボール部【写真:山田智子】
チーム一丸でインターハイを駆け抜けた飛騨高山高校ハンドボール部【写真:山田智子】

インターハイ・ハンドボール女子

 全国高校総体(インターハイ)ハンドボール女子は、8月3日から8日まで岡山県総社市と倉敷市の会場で熱戦が繰り広げられた。飛騨高山(岐阜)は、6日の準々決勝で神戸星城(兵庫)と対戦。24-26の僅差で敗れ、今夏の戦いを終えた。

「悔しい。けど、今日の試合、めっちゃ楽しかったー」。飛騨高山の選手たちは試合終了直後、敗戦の悔しさ、すべてを出し切った充実感、引退する寂しさなど、さまざまな感情が入り混じって、泣いたり笑ったり大忙しだった。

 昨年のインターハイ3位の神戸星城に対して、飛騨高山はこのチームがスタートしたときから磨き続けてきた「高い位置からの1-5ディフェンスで、守って走る」スタイルでぶつかった。

 澤田多茉音の連続得点で先行するも、U-18日本代表にも選出された葭岡椛音、武田桜麗を中心に圧力を掛ける神戸星城に逆転を許し、早々に主導権を握られた。細江昌子監督は、前半7分過ぎからタイムカード申請板を手にし、「4点差ついたら出そう」と考えていたそうだが、選手全員が泥臭くディフェンスをし、澤田の3連続得点で追い上げるなど最大3点差で踏みとどまって、12-10の接戦で前半を終えた。

 しかし後半の立ち上がり、飛騨高山に立て続けに2分間退場者が出て2人少ない状況に。その影響もあって、開始6分半で6点のリードを作られる。このまま一気に勝負を決められてもおかしくなかったが、飛騨高山は武器であるディフェンスから立て直しを図り、澤田、松野結の得点で追撃を開始。後半18分半に19-21と2点差に迫った。

「オフェンスでも、これまで練習してきたフォーメーションがあったので、出し惜しみせず全部やり切ろうと伝えました。そして最大の目標は今日の試合を楽しむことでした」という細江監督の言葉のとおり、終盤にはサイドの澤田から中央の松野に合わせるスカイプレーが飛び出すなど終始楽しみながら勝利を目指したが、最後は底力を見せた神戸星城高校に24-26で振り切られ、ベスト4にわずかに届かなかった。それでも、細江監督の表情は充実感にあふれていた。

「自分たちが作り上げてきたディフェンスを最後まで貫くことができて、それが神戸星城高校のような強豪にも通用することは自信になったし、これまでの頑張りは無駄じゃなかったと証明することができました。

 選手たちは、今までで一番楽しかったと話していましたね。私自身もあっという間の1時間で、最後にこんなに楽しい試合ができたことはこれからの人生の大きな財産になると思います」

 チーム最多の10得点を挙げたサイドプレーヤーの澤田は「ずっとやっていたスカイプレーも決まって、楽しかったです。初戦は自分もすごく調子が悪くて、シュート成功率が50%以下ですごく苦しかったんですけど、2回戦以降は『ここでやるしかない!』と、インターハイ中に自分で変わることができました」と笑顔を見せる。

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山田 智子

愛知県名古屋市生まれ。公益財団法人日本サッカー協会に勤務し、2011 FIFA女子ワールドカップにも帯同。その後、フリーランスのスポーツライターに転身し、東海地方を中心に、サッカー、バスケットボール、フィギュアスケートなどを題材にしたインタビュー記事の執筆を行う。

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