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学校統合→4か月後の全国1勝 体育館使用不可の逆境も…岩手の“新たな名門”が示した成長の跡

ハンドボールの全国高校総体(インターハイ)に初出場した岩手県立南昌みらい高校が、初戦で高知中央に38-28で勝利し、記念すべき全国大会初勝利を挙げた。

統合後初のインターハイで勝利を手にした南昌みらい【写真:山田智子】
統合後初のインターハイで勝利を手にした南昌みらい【写真:山田智子】

インターハイ・ハンドボール男子

 ハンドボールの全国高校総体(インターハイ)に初出場した岩手県立南昌みらい高校が、初戦で高知中央に38-28で勝利し、記念すべき全国大会初勝利を挙げた。

 南昌みらいは、今年4月1日に不来方高校と盛岡南高校が統合して誕生した。南昌みらいとしては初出場だが、不来方は全国大会の常連で、インターハイは28回の出場を誇る。2013年の第16回全国高等学校ハンドボール選抜大会で初優勝を果たしている。他方の盛岡南も昨年の新人戦や選抜大会予選では岩手県内でベスト4に入っている県内の強豪チーム。部員43人のうちの5人が盛岡南の出身、残りが不来方の出身。指揮を執るのは、元ハンドボール女子日本代表で、不来方を率いていた安倍千夏監督だ。

「もともと違うチームでしたので、同じ基準でやることが非常に難しくて。特にインターハイ予選は統合してすぐの大会でしたが、そこに向けて選手たちがよくまとまってくれたなという思いしかないです。

 うちは個々の力がそれほど高いわけではありません。組織で勝とうということで、個人の突破というよりはチームで1点を取る、守備でもチーム全員で守るという部分を徹底してきました。それを選手全員がしっかりとやってくれた結果だと思います」

 安倍監督はそう語り、統合という不安な状況の中でまとまりきった選手を讃えた。

 誰かが点を決めれば、ベンチメンバーを含めて全員がガッツポーズをして喜ぶ。キャプテンの久慈涼介を中心に、モップ掛けで試合が止まったタイミングなどにコート上で選手同士が頻繁に話をする。統合による苦労を感じさせないほど、何年も一緒にプレーしているような一体感を感じさせた。

「キャプテンが本当にチームをまとめてくれました。彼が泥臭く、諦めずにプレーをする背中を見て、みんなの『頑張ろう』『彼を勝たせたい』という思いが強いチームなのかな」(安倍監督)

 久慈は「出身校で分けるようなことはせず、特に盛岡南からは5人と少なかったこともあり、馴染むように声をかけました。同じチームとして同じ基準、それも低いレベルではなく、高いレベルに合わせることを意識しました。3年生だけでなく、1年生と2年生も含めて、それに付いてきてもらいました」と振り返るように、高い基準でチームを引っ張った。

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山田 智子

愛知県名古屋市生まれ。公益財団法人日本サッカー協会に勤務し、2011 FIFA女子ワールドカップにも帯同。その後、フリーランスのスポーツライターに転身し、東海地方を中心に、サッカー、バスケットボール、フィギュアスケートなどを題材にしたインタビュー記事の執筆を行う。

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