「一番の夢はオリンピック」 悲願の400m高校日本一、コザの平川慧は心優しき琉球スプリンター
陸上の全国高校総体(インターハイ)第1日は2日、札幌市厚別公園競技場で男子400メートルの予選、準決勝、決勝が行われ、決勝は平川慧(沖縄・コザ)が自己ベストの46秒63で優勝。悲願の夏の日本一に輝いた。
陸上インターハイ第1日・男子400メートル決勝
陸上の全国高校総体(インターハイ)第1日は2日、札幌市厚別公園競技場で男子400メートルの予選、準決勝、決勝が行われ、決勝は平川慧(沖縄・コザ)が自己ベストの46秒63で優勝。悲願の夏の日本一に輝いた。
1年前の悪夢を払拭し、平川がついに決勝の1番でゴールに飛び込んだ。
「去年、400メートルが予選落ちだった。今年は最後ということで一段と優勝したい気持ちが強かった。『自信はある』と言っていたけど、前日から近づくにつれ、もちろん不安や、去年の(予選落ちの)怖さがあって。予選1本走って落ち着けて、準決勝を終わっても疲労感なく、自信を持って決勝に臨めたのが良かった」
スタートも良く積極的に飛ばして逃げ切り、渾身のガッツポーズを作ってゴールを駆け抜けた。
1年生で決勝を目指したインターハイは誰が強いのか速いのかも分からないまま、いきなり3位。しかし、優勝を目指した2年生は結果を意識しすぎて、まさかの予選落ち。過去の苦い経験がこの日につながり、レース後は感極まった表情も浮かべた。
「みんなもそうだと思うけど、いくら自信があると言っても、恐怖や不安との戦いなので。それを耐え抜いて1位でゴールした瞬間の想いが一気に来て……。今もまだ実感はないけど、落ち着いてまた自分の走りを振り返って……今は休みたいです(笑)」
夏が不思議な力をくれた。これまでどれだけ調子が良くても、大きな舞台でも46秒台を出せず。「47秒の壁」を感じていた。
インターハイは1日で予選、準決勝、決勝の3レース。記録は厳しいと覚悟していたが、1レースを走るごとに落ち着きと自信がみなぎり、準決勝を終えた時点で「今日はあるぞ」と予感した。「でも(一気に)46秒6台なのでびっくりです」とほほ笑んだ。
「普段の練習の送迎だったり、自分を支えてくれているのは母親だったり、家族、おじいちゃん、おばあちゃん、コーチ、顧問……。いろんな人があっての自分なので、一番の恩返しは結果を残して優勝することくらいしかできないので、叶えられてうれしいし、安心しました」
周囲への想いを一人ひとり挙げ、感謝を述べた心優しき琉球スプリンター。「一番の夢はオリンピック。日本代表になること。それに向けても、今回の結果は一歩近づくことができた」。北海道の夏で掴んだ日本一は、壮大な夢に続く通過点にすぎない。
(THE ANSWER編集部)