【サッカー】2人のエース、明暗分かれたワンプレー 大ピンチ一転、鮮烈速攻で同点の山梨学院初V
全国高校総体(インターハイ)男子サッカー競技は13日に決勝戦を行い、山梨学院(山梨)が延長戦の末に2-1で桐光学園(神奈川第2)を破って初優勝を飾った。
男子サッカー決勝で山梨学院が桐光学園を破り初優勝
例えるならば、相手のエースがかけていた「ヒーロー」という“襷”をGKが奪い取り、DFが拾い、つなぎ、自分たちのエースへ渡す。そんなシーンだった。アディショナルタイムに両チームの天国と地獄は重なった。
全国高校総体(インターハイ)男子サッカー競技は13日に決勝戦を行い、山梨学院(山梨)が延長戦の末に2-1で桐光学園(神奈川第2)を破って初優勝を飾った。35分ハーフの試合は、70分を超えてアディショナルタイムに入るまで、桐光学園のゲームだった。前半21分に右からのクロスを2年生エースの西川潤がヘディングで決めて先制。その後もサイドチェンジで相手を揺さぶり、押し込まれる時間帯も多くは決定機を作らせずに試合を進めていた。
U-16日本代表でもエース格として活躍している西川は、準々決勝のハットトリックを含めて6得点目。“桐光の西川の大会”になるはずだった。しかし、ワンプレーですべてがひっくり返った。試合時間70分プラス5分のことだ。前がかりに攻める山梨学院に対し、桐光学園はカウンターのチャンスを得る。右サイドで相手を振り切って独走したのは、西川だった。あとは、シュートを決めるだけ。GKが優先するのは、至近距離のニアサイド。西川はファーサイドへ得意の左足でシュートを放った。勝利を決定付ける追加点になるはずだった。
しかし、準決勝までのPK戦で7本中5本をセーブするなどチームメイトから「今大会は、神がかっていた」と評された山梨学院のGK市川隼(3年)は、大ピンチでも冷静に「動き方を見て、ファーに巻いてくるボールだと思った」と予測し、ファーサイドに反応して右足でブロック。こぼれ球に駆け寄った右DF保坂紘生(3年)は「サイドにFWが走っているのが見えた。守るので精一杯だったけど、どこかでクリアがパスになればという考えが頭にあった」と右サイド前方にクリア。落下点に走って来たのは、パワープレーで前線に上がっていた長身DFの大石悠介(3年)だ。