【サッカー】V候補・青森山田も撃破 「思い切り」を手にした昌平、大津との大一番を越えられるか
持たせておけばいい。ゴール前をがっちりと固め、守備ブロックの外側で相手にパスを回させる。そして、ブロックの隙間に入って来たら、狭いスペースで相手を潰してボールを奪い、一気にカウンターを仕掛ける――そんなサッカーに何度苦しめられて来ただろう。埼玉県第1代表として全国高校総体(インターハイ)の男子サッカー競技に出場している昌平は、卓越したパスワークを誇りながら、得点を奪い切れずに敗れる悔しさを何度も味わって来たチームだ。相手にボールを与えず、一方的に支配する技術と戦術を持つ一方、決定力を欠き、カウンターやセットプレーに泣く試合も少なくない。
インターハイ男子サッカー、苦手パターンの克服が見えて来た昌平、過去最高4強へ
持たせておけばいい。ゴール前をがっちりと固め、守備ブロックの外側で相手にパスを回させる。そして、ブロックの隙間に入って来たら、狭いスペースで相手を潰してボールを奪い、一気にカウンターを仕掛ける――そんなサッカーに何度苦しめられて来ただろう。埼玉県第1代表として全国高校総体(インターハイ)の男子サッカー競技に出場している昌平は、卓越したパスワークを誇りながら、得点を奪い切れずに敗れる悔しさを何度も味わって来たチームだ。相手にボールを与えず、一方的に支配する技術と戦術を持つ一方、決定力を欠き、カウンターやセットプレーに泣く試合も少なくない。
しかし、今大会では新たな武器を持ち、スキルフルなサッカーに得点力を上乗せして勝ち上がっている。8日に行われた2回戦は、観戦者を驚かせるレベルの試合に打ち勝った。相手は、優勝候補の一角に名が挙がる青森山田(青森)。高校年代の最高峰である高円宮杯U-18プレミアリーグEASTで2位につける強豪だ。試合の立ち上がりは、青森山田の鋭く力強いプレッシングにボールを奪われ、押し込まれた。前半14分までに2失点。前半終了間際にワンツーで相手の守備を崩して1点を返したが、後半に入ると相手が守備的な戦いを見せ始めた。
ただ、序盤からミドルシュートを積極的に飛ばしていた昌平には、これまでのように打ち切れずに敗れる流れは存在しなかった。後半17分、MF渋谷航平(3年)が目の覚めるような右足ミドルシュートを豪快にたたき込んだ。藤島崇之監督も「試合を通して、選手の判断が磨かれていて、迷いがなかった。普段、打たないだろと思うような渋谷のシュートも、思い切りが良かった」と驚き、わずかな隙を射抜いた得点だった。渋谷は「縦パスを入れた後、ほかの選手がシュートまで行くかなと思ったけど、中央にボールが入った瞬間、あっ、これ自分のパターンだなと感じた。右足でダイレクト。蹴った瞬間に来たなという感触があって、相手選手の股下を抜けて良いコースに飛んだ」と喜んだ。
渋谷の同点ゴールで勢いを増した昌平は、さらに2点を奪って4-2で強敵に打ち勝った。苦手パターンの克服が見えて来たと言える。翌9日の3回戦でも札幌大谷(北海道第1)に2点差から3-2で逆転してみせた。11日に行われる準々決勝では、U-18日本代表2人を擁する大津(熊本)と対戦する。勝てば、松本泰志(広島)、針谷岳晃(磐田)を擁して初出場で4強入りした2016年に並ぶ過去最高成績となる。
(平野 貴也 / Takaya Hirano)