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【陸上】ライバルで投てきアベックV 市岐阜商の高校スター2人を強くする“いい悔しさ”

8月3日、35度を超える強烈な暑さの中で行われた全国高校総体(インターハイ)の陸上男子円盤投げで、市岐阜商(岐阜)の山下航生(3年)は、1日で高校記録を3度塗り替え、圧巻の優勝を果たした。

山下(右)と稲福(左)は中学時代からライバル関係だった【写真:山田智子】
山下(右)と稲福(左)は中学時代からライバル関係だった【写真:山田智子】

インターハイ円盤投げVの山下航生、砲丸投げVの稲福颯のライバル物語

 8月3日、35度を超える強烈な暑さの中で行われた全国高校総体(インターハイ)の陸上男子円盤投げで、市岐阜商(岐阜)の山下航生(3年)は、1日で高校記録を3度塗り替え、圧巻の優勝を果たした。

 ライバルの偉業達成を見届けると、稲福颯(市岐阜商3年)は歓喜に沸く応援団の輪から離れ、観客席の一番後ろに一人座り込んだ。「悔しいです」。ひと言だけ絞り出すと、大きな身体を丸めて肩を震わせた。「まだ砲丸があるので、意地を見せたいです」。

 その3日後に行われた男子砲丸投げで、稲福は高校記録にあと7センチに迫る18メートル14で高校チャンピオンに輝いた。

 中学時代から既にライバル関係にあった山下と稲福は、3年前、投てき設備を備えた市岐阜商に揃って入学した。同校の陸上部で投てきを担当する小嶋謙一コーチも、同じ年に母校である市岐阜商に赴任してきた。選手としては円盤投げの東海インカレ王者の経歴を持つが、指導者としては2校目。

「指導歴が浅かったので、いきなりこの2人を教えるのかという不安もありましたが、全国で勝ちたいという2人の気持ちを叶えてやりたいと、僕もすごく勉強しました。

 特に高校になってから始めた円盤投げは最初に教えたのが僕だったのですが、スター選手なので不安を感じながら指導しました。何の巡り合わせか分からないんですが、結果的には良かったです。3年間かけて、一緒に優勝を勝ち取ったと気持ちでいます」

 山下と稲福はライバルでありながら、とても仲がいい。練習もピリピリとした雰囲気が全くないどころか、笑顔が絶えず、和気あいあいとしている。「選手自身が考え、お互いに教え合うことを大切にする」指導方針ということもあり、タブレットで映像を確認しながら、選手同士が活発にコミュニケーションを取っている。

「指導者だけでもダメだったと思います。何よりこの2人で切磋琢磨して、高め合って成長してきたのが一番の原動力ですね」(小嶋コーチ)

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山田 智子

愛知県名古屋市生まれ。公益財団法人日本サッカー協会に勤務し、2011 FIFA女子ワールドカップにも帯同。その後、フリーランスのスポーツライターに転身し、東海地方を中心に、サッカー、バスケットボール、フィギュアスケートなどを題材にしたインタビュー記事の執筆を行う。

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