【バスケ】「明らかに力がない」からの23度目の頂点、常勝・桜花学園が勝ち切れる理由とは
分岐点は残り3秒で逆転した昭和学院戦
「昭和学院に残り3秒で逆転勝ちをして、選手が自信をつけて、その後の戦い方がインターハイ前とは違ってきた。ディフェンスが粘り強くなって、リバウンドも頑張れるようになった。5人が5人とも積極的に1対1をやろうという気持ちが表れていた。戦う気持ちができた、心の成長が一番大きいですね」
キャプテンの坂本雅(3年)も同戦がターニングポイントになったと頷く。
「いつも先生に気持ちの部分が弱いと言われていました。追いかける展開になった時の桜花は弱いんですけど、昭和学院戦ではずっとリードされていても離されずについていけた。自分たちが折れなかったことで、最後は逆転することができた。気持ちを一番強く出せた試合でした」
決勝前日の夜のミーティングで井上コーチは、「勝っても負けても、自分たちのプレーをしよう。思い切りやりなさい」と声を掛けた。しかし選手たちは「先生のためにも、自分たちのためにも、優勝しか考えていなかった。岐阜女子を倒すために、気持ちでやっていこう」と激しいディフェンスから積極的にリングにアタックして主導権を握り、チーム一丸で女王の座を奪還した。
「下級生が多いし、レベルアップはこれから。ウインターカップではもっといいチームになると思います」
井上コーチの目論見通り、一戦一戦成長し、たくましさを備えた女王が目指すのは、もちろん三冠だ。
(山田 智子 / Tomoko Yamada)