【サッカー】国学院久我山、DF井上の「奇跡的に決まった」ミドル弾から16分間で3発ゴールラッシュ
鮮やかなミドル弾は「奇跡的に決まりました」
あらためて素晴らしいミドルシュートだったが、どうやら得意としているわけではないという。清水恭孝監督は「ミドルシュート? 絶対、持ってないです」と笑い飛ばした。本人も否定しなかったが、決めてしまえばこっちのものだ。井上は「シュートは、めちゃめちゃ下手。いつも、『お前は持ってない』と言われています。でも、今日は、やってやりました。応援してくれた人たちのおかげだと思います。奇跡的に決まりました」と苦手を認めながらも最高の感触の余韻に浸っていた。
やってみなければ、分からない。少なくとも、奇跡の手前までは準備してきた。1月にはヒザを手術したが、リハビリをこなして復帰。国学院久我山は、人数をかけて攻撃するチームで、サイドからの攻撃参加は一つのキーポイントとなる。井上は、しつこい守備対応と、インターセプトからの攻撃参加でポジションをつかんだ。
高校ナンバーワンを決めるインターハイは、多くの選手やチームが自分の可能性を試し、信じ、切り拓く大会だ。準備したものだけがピッチに立つことができ、挑戦したものだけが成果を得る権利を手にする。確実性が重要なのは、分かり切っている。それでも苦手なシュートに挑んだ井上が、この試合のヒーローだった。
(平野 貴也 / Takaya Hirano)