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全員初心者からの全国挑戦 なぜ“高校生なぎなた女子”はなぎなたに青春を捧げるのか

基本練習よりも、実戦練習に時間を割くという南陽高【写真:荒川祐史】
基本練習よりも、実戦練習に時間を割くという南陽高【写真:荒川祐史】

初心者集団を強くするには“基本無視”の実戦漬け

 そんな初心者集団をどう指導していくのか。練習環境は決して恵まれていない。道場は剣道部らと兼用で、平日に使用できるのは週に2日だけ。しかも1時間~2時間程度で、それ以外の日は道場の外の駐車場でなぎなたを振り、体力強化に位置づけている。この限られた時間で初心者集団をどう指導しているのだろうか。

「工夫をして初心者ですべてを教えなければいけない中で、全国で勝つために、すごく考えてやっています。短いので、とにかく防具をつけて練習する。集中してやらないといけない。無駄な時間は使えない。のんびりして気が抜けていたら追いつけないと。1回1回大事にすることですね」

「本当はもっと丁寧に教えないといけないんですが……」というが、基本練習よりも、とにかく実戦練習に時間を割くという。習うより慣れよ――がモットー。実際にやってみて動きを覚えていく。

「時間がもっとあれば、基本からきっちり練習すると思いますが、それを丁寧に理論立ててやることはかなり省いています。だから他校と見比べると不格好かもしれません(笑)」

 インターハイには個人戦、団体戦のほかに「演技」という2人1組で技の優劣を競う競技もあるのだが、同校はこの練習は全く行っていないという。一方で重きを置いているのが、自分で考えること。実戦漬けの中で思考力や判断力を養っているのだ。

「どうしてもなぎなたを知らない子ばかりなので、私が言うことが多くなってしまいがちですが、自分でなぜうまくいかないのか考えなさい、工夫しなさいと伝えています。なぜ打たれたのか、自分の思ったようにはできないものです。相手がいる競技ですから。でもどうしても自分が中心になる。自分がうまくできなかったのだと。でもそうではなくて、相手がこうだったから自分がこうなった。そういうところに思考をもっていくことができれば、さらに成長できると思います」

 わずか3分間の試合の中で相手の挙動などからクセを見抜く技術を、練習の中から培っていく。高校生にとっては非常に高度なことだが、単純な力と力の勝負ではない奥深さが、生徒たちがなぎなたに惹かれる理由なのかもしれない。

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