【バレーボール】悲願初Vの市尼崎、“雑草軍団”を成長させた伝統からの転換 「荒々しいバレーを」
苦節29年の指揮官も涙「積み上げてきたことがようやく実を結んだ」
インターハイの兵庫県予選で10連覇を達成したが、近畿大会では東山(京都)に敗戦。その東山は洛南に敗れており、前評判は高くなかった。しかしふたを開けてみなければわからない。試合ごとに自信をつけて、準決勝で連覇を狙ったV候補・鎮西(熊本)を、そして決勝でも洛南と、今大会の2強と目されていた強敵を連破しての頂点まで駆け上がった。
就任29年目の藤原和典監督も「ここまで長かった。色々な思いがこみ上げてきた。コツコツ積み上げてきたことがようやく実を結びました」と涙をぬぐった。今年のチームは中学時代に目立つ実績を挙げた選手はほぼおらず、この日のスターターには高校入学からバレーを始めた選手もいるほど。それでも成長の速度は早かった。191センチの岩本大吾(3年)、183センチの西村駿佑(同)の2人はユース代表入りするまでに成長。1、2年時から経験を積んできたメンバーが最上級生となり、勝負の年でもあった。
「スケールの大きな事をやろうと思った」と藤原監督。苦手だったというレシーブにはある程度目をつぶり、「高校トップレベルの高さを目指した荒々しく攻撃的に戦えるチーム」を作った。堅実だがやや迫力に欠ける、伝統的な“イチアマ”のバレーから転換。生徒たちのポテンシャルを伸ばすことにより重点を置いたことが、最高の結果に結びついた。
粗削りながら、はつらつとしたアグレッシブな姿勢。ポイントを挙げれば、感情を全開にする選手たちの姿は、見るものを魅了していった。「生徒たちが本当によく頑張った」と再び目を潤ませた指揮官。かつての“雑草たち”が見事に咲き誇り、真夏の伊勢路に新しく爽やかな風を吹かせた。
◇インターハイの男子バレーボールは7月27日より4日間にわたって熱戦が繰り広げられる。今大会は全国高体連公式インターハイ応援サイト「インハイTV」を展開。インターハイ全30競技の熱戦を無料で配信中。また、映像は試合終了後でもさかのぼって視聴でき、熱戦を振り返ることができる。
(THE ANSWER編集部)