人の心を動かす女子バレー 元代表監督の眞鍋氏が考える「魅力」と「パワーの源」
眞鍋氏がプレーヤーに求めるのは…相手を思いやり、気持ちを一つにすること
会場のみならず、日本、そして世界を感動に包んだ2012年8月11日のことは、今でも脳裏に鮮明に焼き付いていると眞鍋氏は語る。
「8月11日、迫田は過去最高のアタック決定率でした。もっと言えば、マッチポイントが彼女に回ってくるんです。最後の最後、迫田が決めて28年ぶりの銅メダル。これがチームスポーツ、そして女子バレーの力だと思います」
バレーの見えざる力に関する逸話に、生徒たちも食い入るように耳を傾け、聞き入っていた。ロンドン大会を含めて五輪で2度指揮を執り、現在は生まれ故郷の兵庫県姫路市を拠点とするクラブチーム「ヴィクトリーナ姫路」でゼネラルマネージャーを務める眞鍋氏が改めて説いたのは、相手のことを思い、「気持ちを一つにする」ことだ。
「バレーは助け合いであり、思いやりのスポーツです。1人目が失敗したら2人目がカバー、2人目が失敗したら3人目がカバーする。最後にアタックする時には、残りの5人がブロックやはね返りをフォローする。普通にパスをするのと、愛情を持ってパスをするのとではまったく違います。相手の気持ちになってプレーすれば、必ず良い方向に向かうはずです」
現在、全日本女子「火の鳥NIPPON」は、中田久美新監督の下、2020年の東京オリンピックへ向け、新たなチーム作りを進めている。56年ぶりに日本で行われる4年に一度の祭典で快進撃を見せ、悲願の金メダルを獲得できるか。これから描かれていく女子バレーの新たなストーリーからも目が離せない。
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ジ・アンサー編集部●文 text by The Answer