中学時代は“無名選手”ばかり 東京からインターハイ初出場、発掘と育成で「大成」だ
可能性と成長力を信じた監督「中学時代、優れていると評価されていた選手はいない」
対戦相手の帝京は、全国高校サッカー選手権で戦後最多タイの6度優勝を誇る古豪。ほかにも近年は、2015年度に関東第一がインターハイで全国4強。國學院久我山が全国高校選手権で準優勝するなど好成績を残している強豪校がおり、全国未経験の大成は、選手獲得面では後手を踏む。豊島監督は「多分、中学時代に優れていると評価されていた選手は、うちにはいない。でも、入学時から『3年後が勝負』と言い続けて来た。練習や試合で自信を得たから、全国出場にたどり着いたと思う」と話した。
中学時期の力量ではなく、可能性と成長力を信じて誘った選手が多い。中学校の部活動出身の宮脇は「僕はチームを選べるような選手ではなかった。体験会に行ったとき、もう一度練習に参加しないかと声をかけてもらった」と明かした。この日、初めて公式戦で起用されたGKバーンズ アントン(1年)は、中学時代はレギュラーではなかったが、186センチの長身と、試合に出ていないときの真摯な態度を見た豊島監督が一目惚れをして声をかけた選手だという。
小・中学生は、大会成績や選抜実績などで可能性を判断しがちだが、プロを含めて多くの選手が示しているように、未来の可能性の話であれば、意外と大きな差はないことも多い。大成は、素走りの練習は一切せず、走力、体力を消耗するほどボールトレーニングの強度を上げることで選手を鍛え上げ、現在の3年生は、1年生の終わり頃に東京都選抜に選ばれる選手が複数出るなどメキメキと成長。大会でも勝ち上がる経験を積んで自信を得て、全国大会出場という大きな目標にたどり着いた。自信と喜びは、次の努力の糧になる。8月に沖縄で行われる全国大会で、さらなる飛躍のきっかけをつかめるか。初の大舞台に挑む。
(平野 貴也 / Takaya Hirano)