甲子園Vから底へ…ドラ1候補の苦悩「落ちるところまで…」狂った制球 再生に導いた「原点」――沖縄尚学・末吉良丞

立ち返った「原点のテイクバック」
心が回復し始めた頃、今度は一度崩れたフォームを立て直す転機が訪れる。
昨年末のことだ。チームの練習納めは12月27日。その翌日には、弟が所属する少年野球チームが年内最後の練習を行った。自身もかつて在籍したチームだ。親に「手伝いに来て」と言われて久しぶりに顔を出すと、お世話になった監督がいた。やり取りの中で、「その監督にずっと言われていたテイクバックの使い方をふと思い出したんです」と振り返る。
「グラブからボールが離れた後、体のラインに沿って腕をたたみ、上に引く」。それが、少年時代に繰り返し指導されたフォームだった。
原点に立ち返って実践すると、ボールが指にかかる感覚が復活し、スピードも戻ってきた。「本当にたまたま」つかんだという再生への糸口を体に刻み、年明けから調子を取り戻していった。
捕手の山川大雅主将(2年)も「年が明けてから、ボールの勢いがさらに強くなったように感じています」と好感触を語る。
苦しい時期でも、再浮上を信じてコツコツと積み重ねた体づくりも実を結びつつある。パンパンに張った太ももが象徴するように、土台はがっしりとしている中、上半身と下半身を7:3の割合で鍛えてバランス良く強化。昨夏時点で95キロが最高だったベンチプレスは105キロまで上がるように。今夏には平均球速を140キロ台後半から150キロまで上げることを目標にする。
心身のコンディションが上向いてきた影響だろう。センバツ出場が決まった直後の言葉には、力があった。
「夏春連覇をできるのは自分たちだけなので、出るからには優勝を目標に全員でやっていきたいです。夏に優勝して追われる立場だとは思いますが、今は新しいチームになっています。そこはあまり意識せず、もう一度挑戦者という気持ちで1試合1試合に臨みたいです」
一度立ち止まったからこそ、見つめ直すことができた自身の原点。世代トップ級の選手とはいえ、まだ成熟の途上にある17歳にとっては次のステージに進むために必要な時間だったに違いない。自身3度目の甲子園となるセンバツでの投球で、それを証明してくれるはずだ。
(長嶺 真輝 / Maki Nagamine)
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