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甲子園Vから底へ…ドラ1候補の苦悩「落ちるところまで…」狂った制球 再生に導いた「原点」――沖縄尚学・末吉良丞

感覚を確かめながらボールを投げる末吉良丞【写真:長嶺真輝】
感覚を確かめながらボールを投げる末吉良丞【写真:長嶺真輝】

疲労と周囲の期待で「空回り」…等身大を受け入れる

 比嘉公也監督が「疲れがかなり残っているという印象は、U-18W杯の後から強く感じていました」と言う通り、不調に陥った最大の要因は疲労だった。

 約1か月半という短期間で、甲子園とU-18W杯という大舞台で9試合に登板。U-18W杯は9月14日に閉幕し、秋季県大会は9月20日に開幕した。わずかな休息を挟んだが、ここまでタイトな日程では身体のダメージを抜くことは難しい。無意識のうちに肘が下がり、フォームが崩れていった。

 メンタル面でも苦しんだ。2年生ながら次回のドラフト1位候補とされ、自然と周囲の期待は膨らむ。県大会や九州大会にも多くの観衆が詰め掛け、自身もそれに応えようとする。年明けに取材をした際、末吉は当時の心境をこう振り返っていた。

「疲労が溜まった中で自分にできることは限られていたと思いますが、それでも『ベストパフォーマンスを出そう、出そう』としていました。まわりからの期待もある中、自分にできる以上のことをやろうとして、空回りしていた感じです。気負い過ぎて、心と頭の整理がついていなかったと思います」

 1999年のセンバツでエースとして沖縄尚学を初優勝に導いた比嘉監督は、トップ選手だからこその苦悩が手に取るように分かるのだろう。「常に見られている環境では、疲労は抜けにくいですよね。かわいそうだなとも思いますが、慣れていくしかない。応援され、見られる中でそれを力に変えていく考え方が必要です」と、温かくも厳しい眼差しで見守る。

 冬はまず疲労回復を優先し、ボールを投げるよりもウエイトトレーニング中心の練習メニューを課したという。

 時間の経過と共に、徐々に自身と冷静に向き合えるようになっていった末吉。「冬に落ちるところまで落ちたので、できる範囲をより理解することができました。割り切ったことで、少しずつ状態が上がっていきました」。無理に背伸びはしない。底を知り、等身大の自分を受け入れたことで、前向きさを少しずつ取り戻していった。

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